退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
結束した若者が旧態依然とした社会に風を吹き込む奇跡の物語。
ぼちぼち書き直したら、えらく長くなりました。まぁ前作に引き続き見ればそれなりに面白いです。
以下はレビューというより記憶と伝聞頼みで徒然に書いた雑感です。
間違ってる部分あったらごめんなさい。かなり濃厚なネタバレを含むので要注意。
いじめのニュースがえらく話題になったので、ふとこの作品を思い出しました。
「ひぐらしのなく頃に」「ひぐらしのなく頃に解」は繰り返される惨劇の運命を変えるため、若者達が一致団結し運命を乗り越える・・・という素晴らしい作品だったと思います。
舞台となる雛見沢村は部落なのかな?と思ったのですが、部落差別についてはほとんど扱っていません。まぁゲームやアニメでは無理だよなっと思ってましたが、別方向に深化させた作品でした。
年配の方に聞いた話では、小さな集落においては田んぼの水がどうたらで村八分、というのは割と最近まであったことで、しかも大人が子供のいじめを助長することなんてざらにあったらしい。
子供に罪はない、許してくれと母親が泣きついてきたとか・・・聞いていて大変心苦しくなりました。
今でも同じような事があるところにはあると思います、あそこの家の子とは付き合うな、ぐらいは。
「ひぐらしのなく頃に」は子供達の間でイジメと言えるイジメは確かなかったと思いますが、児童虐待がテーマの一つです。雛身沢村の大人は、村八分にされていた北条家のサトコが義父に虐待をされていたにも関わらず、救いの手を差し伸べることに二の足を踏んでいた。それどころか自分も村八分にされるのではないかと「見えないもの」に怯え、大勢が存在を毛嫌いし無視していた。「村八分」は村をまとめ上げる上で必要な事ということであるとしても、やってることはイジメの構図となんら変わらない。サトコの友人達が彼女を救うために一致団結して立ち上がり、大人達を激しく突き動かしていくのが最大の見所なのですが(個人的に)、それまでに幾多のバッドエンドを繰り返したことでその困難さが痛いほどよく伝わってきます。終盤についにやくざな園崎家を突き動かし、雛身沢の澱んだ空気を一気に変えていきます。ダム戦争の再来じゃ!雛身沢の団結力をなめるなよ!と一人の女子を救うために、雛身沢の住民が一致結束し役所にズンドコ押し寄せて保護するように圧力をかける・・・って色んな意味で反発を買いそうなぐらい相当濃い作品です。しかし結局は本人が救いを求めなければ問題は解決へと動かないのです。
これは作品の一部に過ぎない話ですが、ここいらに「ひぐらしのなく頃に」の良さが凝縮されているように思います。サトコの話以外にも共通して「一人で思い悩んでないで仲間を信頼して打ち明けろ」という強烈なメッセージがあります。主人公の前原圭一が新たな風を巻き起こし、疑心暗鬼に陥りかける仲間が助け合い惨劇の宿命を変えていく、そして誰も犠牲にならない世界に導くと予定調和的な展開になっていくのですが、それは「起こりえない奇跡」の連続。若者達の生気みなぎる物語へ発展していく、それ故に大変人気の高い作品なったのだろうと思われます。
実際のイジメ問題を見てもなかなか他人を信用しろっていうのも難しいようで、大人への期待も信頼も鼻から無いように思えてしまいます。実際揃いも揃ってあの様であるし、いじめられてる側も学校という閉鎖空間で孤立して極度の人間不信に陥ってるでしょうから、同級生にすら相談出来ないのが普通であるかもしれません。せめて周りの子供が訴え出ればなんとかなる道筋を付けてあげなければいけないですね・・・難しいでしょうがイジメ専門のスクールポリスなんかをもう常駐させてもいいぐらい。前原圭一君みたいな子は普通いないですけど、子供主体で解決していく方策があれば尚いいんですけどねぇ。
話がそれてしまいましたが、本作は猟奇ホラー、サスペンス、パラレルワールドものといったイメージが先行しています。しかし前述の通り、仲間が結束し旧態依然とした社会に風を吹き込み変えていく力強さを感じられる、実にエネルギッシュな作品です。見た事ない人でもおそらく全部みればそれなりに納得いくんじゃないかと・・・ただ必要以上の繰り返される残酷描写には好き嫌いは勿論あって当然の作品だと思います。ぶっちゃけ黒幕が明らかになってからあんまり面白くないのではあるが・・・よくまとまっています。原作もやりましたが選択肢もなくただ読み進めるだけも関わらず、幾多の伏線が複雑に絡み合い、一つ一つの話に重みが感じられる中に楽しさもあり、話の全貌を知っても尚面白いものでした。それに及ばずともアニメも十分成功と言える素晴らしい出来でありました。