photon さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
諄い
以前同物語シリーズについて評価したことがあるけれど、パブロフの犬にでもなれとでも言っているような諄い印象。修辞学についてはあまり詳しくないのだけれど、レトリックで最終的に煙に巻くという感じ。
哲学の場合、予め決められたテーマに沿って議論がなされるのでそれが手摺のような役割を果たすことでどれだけ捲し立てられてもそれ程迷うことは無い。従って、どれだけ印象に残るような言葉や抑揚を残したとしても手摺さえ握っていれば異変に気付くことができる。手摺のない状態、つまりテーマが決まっていない方が誤魔化しが利きやすいのだ。
本作品の場合、手摺を築いてそこから外れていたりもしているけれど。
会話や説明が多い割に怪異ものと言うには中身が無い。近いところで今敏のような感じ。とは言え今敏の作品の方はメッセージ性を持つものが割と多いと思うけれど。
ところで、冒頭、何故怪異を現実に存在する姿として模しているのか、ということだけれど、一般的(?)には科学が発展途上にある時代において未知の現象に対する恐怖を克服する為と言われている。例えば当時治療方法の存在しない疫病のことを鬼と称していたことや、沿岸部で見られる特殊な物理現象(妖怪の呼称はうわんだったか何だったか性格な処は忘れた)等。
妖怪というものがどんな存在だったのか、少し考えれば分かるのだけれど、以前他でもコメントで記したように、特定の場所に存在するというのが妖怪の最も重要な特徴の一つであり、人が存在するしない等という話は現実非現実、可解不可解に限らない時点で話が手摺を離れてしまっているわけで。
だから個人的には冒頭の時点でそのいい加減さに辟易してしまった。
本や漫画、映像などと同様にアニメも冒頭が最も大事なような気もするのだけれど、そんな出端をあんなに分かり易い形で挫かれると残る作業も重労働に変わる。サウンドやテンポ、抑揚等といった雰囲気に飲まれることもあまりないので余計に辛い。更にそれだけ辟易した冒頭が終盤にかかっていた時にはこちらが無駄な気恥しさを覚えてしまうという何とも理不尽な仕打ちに遭うことになる。
極力無垢な白色スポンジのように吸収しようと努めてはいるのだけれど、整備を続けているモジュールが時にフィルターのような振る舞いをすることもあるようで、ことばの酒気帯び取締りも年々厳しくなる傾向にある。
視野が狭窄化せず疑いを持つ為にもモジュールには柔軟性が求められると思うけれど、それを求めたとしてもある種のフィルターの目が細かくなるのは吸収効率向上の為ではないかとの考えも少しずつ強くなっているので、勿体ないことではあるけれど今後観賞中断が増えるかも知れない。