蒼い✨️ さんの感想・評価
4.5
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
94年というには美しすぎる。
アニメーション制作:東京ムービー新社(トムス・エンタテインメント)
1994年10月 - 1995年11月に放映された全49話のTVアニメ
原作は、『なかよし』で連載されていたCLAMPの少女漫画。
【概要】
1993年東京。社会見学が同じ日に重なって東京タワーにて初めて出逢った、
別々の学校に通う中学2年生の獅堂光・龍咲海・鳳凰寺風は、
金髪の美しい少女・エメロード姫の涙ながらに祈る声に導かれて、
異世界に召喚されてしまいます。
“異世界セフィーロ”
青く澄んだ空に浮かぶ島々、巨大な鳥や魚が空を飛ぶ不思議な光景。
自然豊かで美しい平和な世界。
信じる心、意志の強さが力を与えてくれ願いが叶うというのがこの世界の理であり、
魔法の術を使う者もいます。
この世界は、“柱”と呼ばれる絶対的な存在の心によって平和と秩序が支えられており、
柱であるエメロード姫が祈り続けることによってセフィーロは長らく輝きに満ちた穏やかな世界でしたが、
姫が、補佐する立場にある神官ザガートによって幽閉された同じ頃から魔物が徘徊し人を襲うようになり、
不安と恐怖で人々の心が荒れ果てるようになりました。
光・海・風の3人は、彼女らを召喚したのはエメロード姫であり、
彼女ら自身が3体の巨大な魔神(ましん)をよみがえらせることによって伝説の魔法騎士(マジックナイト)となり、
セフィーロを平和な世界に戻すというエメロード姫の願いを叶えないと元の世界に帰れないことを、
導師クレフから伝えられ、そして彼からは成長する防具を授けられて、
魔法騎士の武器を手に入れるために次に目指す場所を教えられます。
話の途中で3人とクレフはザガートの部下の襲撃に遭い、
3人は、彼女らを庇い身を挺して戦ってくれたクレフとは離れ離れになってしまい、
更には突如現れたザガートの魔法でクレフは石にされてしまいます。
かくして、3人の少女たちの旅の先々でザガートの手下の襲撃を跳ね返しつつ、
世界を救うという使命を科せられた異世界での冒険が始まったのでした。
【感想】
ざっくりと言うと、
美少女+剣と魔法のファンタジー世界+ロボット+ネバーエンディングストーリーなお話。
魔動王グランゾートなど、いろいろな作品を参考にして作られていますね。
正直言って、序盤は低学年向けの退屈なファンタジーアニメですね。
ピンチ→武器がパワーアップor新たな力に目覚めるという繰り返しでワンパターン。
シナリオに仕掛けがあるのですが、
その対比で序盤は敢えて子供っぽくRPG風味なお話にしてるといいますか?
実際にアニメを観て原作者は不満だったのでしょうか?
CLAMPのシナリオ担当の大川七瀬が14話目からシリーズ構成監修とかいうよくわからない役職についたり、
いろいろ脚本に注文をつけるようになりましたね。
自分が原作の作品をつまらないアニメに改造されるのはプライドが許さないですし、
『そんなことされるぐらいなら自分がやる!』の精神ですねw
もともとアニメ化に際して、
監督を大張正巳にしろ! → スケジュール上、不可能だから無理ということで平野俊弘を大張氏が推薦。
すぎやまこういちに作曲させろ! → すぎやま氏が監修するという条件で弟子の松尾早人に。
原作サイドから山ほどの注文があったみたいですね。
特にキャラクターデザインの石田敦子の起用なんかレイアースのアニメ化の絶対条件だったらしく、
無理言ってなってもらって、石田さんのスケジュールが無茶苦茶で凄く大変な目に遭ったみたいですね。
それこそ、リアルSHIROBAKO暗黒編みたいな感じで!
レイアース本編より、そのへんの業界裏事情をアニメ化したほうが面白そうに思いました。
といった事情で、すっごい注文の多い原作者様だなと思わないでもなかったですが、
まあ…原作で死んでない武器職人の女性を勝手に殺したり、
緑髪の男性キャラの過去の設定をアニメで勝手に捏造されたりと、
そのへんのアニオリ展開がアウトだったのでしょうか?
アニメの中で原作とのつじつま合わせの軌道修正をやっていましたね。
原作者の介入の効果かセフィーロでの冒険の後半から戦闘シーンに緊迫感が生まれてきましたね。
ザガートとの決戦から衝撃の結末まで面白かったです、はい!
エメロード姫の願いを叶えるためにセフィーロを旅する話も実は序章かもしれず、
物語は第二部に進みますが、驚いたことに原作者が第二部全部の脚本書いちゃった。
自分の作品には原作者の意図しないことをするアニメ脚本家は、いらないってことですねw
(後の作品『こばと。』では殆どがアニメ脚本家が書いてますので、そっちでは信頼してもらえたのかも)
二部もねえ、セフィーロを狙う複数の勢力と新たなキャラが続々登場するものの、
会話多すぎ+回想シーンをちょくちょく挟むで中だるみ感がありましたね。
会話多すぎというのも『私は○○さんのことが心配ですわ』『私は信じるわ』
みたいに毎回毎回同じこと喋ってて、『渡る世間は鬼ばかり』ですか?って感じでw
一応はロボアニメなのですから、台詞に頼らない物語の作りかたがあるでしょ?と思ったのですが、
これこそCLAMPの芸風なら、私が間違っているのでしょうね、多分。
二部も話が佳境に入って登場人物の心境に変化がついてからが面白かったですが、
でも、盛り上げるだけ盛り上げといて最終回があっさりで拍子抜けでしたね。
原作者が脚本を書かなければ無かったであろうキャラ描写の数々も在って良かった部分も多々ですけどね。
さて、この作品を観てて思ったのですが、
登場人物が心身とも優れすぎてないですか?
14歳の少女がいきなり異世界に召喚されて、
魔法使いやモンスター相手にどんな大変な目に遭っても怯むことが無いし!
勇気と信頼の力で必ずピンチを乗り越えちゃうw
3人娘のうち海ちゃんだけは人間らしい反応みせてるものの、
3人ともメンタル強すぎww
これは、弱い人間が成長する話じゃなくて、
心身ともに優れた主人公が逆境を意志の強さで乗り越えたり、
最初は敵同士でも解り合えて友だちになったりと、
間違った考え方の敵を改心させていく。
やたら理想論だなっと思わないでもないですが、
これもヒーロー像(レイアースではヒロインですが)としては間違ってないのも事実ですし、
愛と友情と勇気が最後に勝つという王道の物語ですから納得しないでもないけどね。
実はこのアニメ、90年~95年のTVアニメでは最高の作画スタッフが揃っているのですよね。
無理言って来てもらった石田敦子のキャラデザは素晴らしく、CLAMPアニメの中では1・2を争うと思います。
石田敦子や後藤圭二が作画監督のときは贔屓目込みですが5.0をあげたいぐらい。
逆に、中○岳洋が作画監督の回、妙に絵が下手すぎて笑えますねw
キャラデザと全然違いすぎて拍子抜け。
でも…中○岳洋もね、第43話の絵コンテ・作画監督・原画作業を全部ひとりでこなしたといいます。
絵が下手で似せる気も全く無いけど、そこに目をつむれば仕事が早くてなんでもできる便利な存在。
長期アニメのスケジュールを破綻させないのに必要な人材かと思ったら不思議な気分です。
特定の作画監督を除いて作画が綺麗なだけあって、この作品は美男美女揃いですね。
個人的にはランティス(黒ずくめの魔法剣士)とイーグル(声がシンジくん)のイケメンコンビがお気に入り。
心身ともに優れているというのは男キャラにも該当していて、
カッコイイ男キャラが好きな私には眼福アニメでありました。
あと、この作品で脇役の美男美女が絵になるカップルになったとか、
いまどきの脆弱な主人公専用ハーレムアニメは見習うべき!
勿論女性キャラは綺麗と可愛いが混ざってて、石田敦子さんのキャラデザが本当に最高でした。
光・海・風もエメロード姫も可愛いのですが、アスカ姫もアラビアンな姉妹も可愛かったです。
他に思ったこととしては、BGMが凄くドラクエっぽい。ていうかドラクエのダンジョンBGMっぽいのが多いですね。
松尾早人が作曲ということですが、DQの作曲家である師匠の影響がかなり大きいのではないでしょうか?
最初のOP『ゆずれない願い』最期のOP『光と影を抱きしめたまま』は、とても素晴らしい歌でしたね。
特に『光と影を抱きしめたまま』は作画面も含めて伝説の名OPとして語り継がれていますね。
EDもドラクエの復活の呪文っぽいメロディの歌とか、本田美奈子の歌とか、
終盤の美しいカットに彩られた優しさを感じる歌とか、どれも感慨深いものがあります。
ついでですが、セガサターン版のRPGは名作としてあげられていますね。
難易度低くて丁寧な作りですので、気軽にプレイできます。
今なら1~2クールで収まりきるであろうという内容で序盤と中盤に多少の難はありますが、
結果としては王道と美男美女が好きな人には満足いただけるアニメであると思いました。
これにて、感想を終わります。
読んでくださいまして、ありがとうございました。