jodream さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 2.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
低予算であることを逆手に取ったコロンブスの卵的作品
概して、予算とアニメのクオリティとは正比例の関係があります。予算があればあるほどアニメのクオリティは上がり、逆に予算がないとクオリティはひどいことになります。とりわけ、この傾向は作画において顕著です。
この作品も低予算の部類に入るでしょう。作画も安定してませんし、アクションシーンも迫力がありませんし、というかカクカクしてますし、止め絵が多いですし……欠点を挙げれば枚挙に暇がありません。そのことから見るに、予算がないことは明らかだと思います。そうすると、前述の「アニメのクオリティは予算に比例する」の原則からすれば、この作品もつまらないはず。そう思いたいところです。
しかし、面白かった! 毎回の放映を日がな数え、放映終了後も見返すほどに面白かった! 今まで300を超えるアニメを見てますが、それでもこの作品はいっとう輝く何かを持っていました。本当に面白かったのです。
では、なぜ面白かったのか。それも低予算であるにもかかわらず。
それは、低予算であることを逆手に取って、秀逸かつ独創的なギャグに仕上げたからです。より正確にいえば、ギャップをうまく使ったギャグ、ということになるでしょうか。
たとえば、通常なら良作画を用意するはずのところに、あえてお粗末な作画を置く、といった具合です。シリアスなシーン(あるいはアクションシーン)に、お粗末な作画を(それも上手く)挿入していました。登場人物達はまったくもって真面目にやっているのですが、その真面目さとお粗末な作画のギャップがかえって笑いをうむ、そういったギャグを演出したのです。バクマンで言えば、「シリアスなギャグ」というやつです。このギャグが恐ろしいほどよくキレていました。
また、このようなギャップを生かしたギャグは作画とBGMの間でも使われていました。作画があれでもBGMのクオリティは悪くありませんでした。むしろ良いと言いほどでした。しかし、その良BGMがお粗末なシーンや、あるいはギャグシーンに使われる。その落差が笑いをうむ。
ここまで長々と話してきましたが、それでも「聖剣使いの禁呪詠唱」の魅力は一割も伝えることができていないと思います。まだ見てない方は、「聖剣使いの禁呪詠唱」の一話、せめてAパートでもいいので視聴してください。そこにワルブレメソッドのエッセンスが全部が詰まっています。ぜひ、視聴してみてください。