ノンリニア さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
四畳半オデッセイ
森見登美彦さんの小説をアニメで表現した作品です。
全編ハイセンス!そして不思議感満載の物語。
ただ、主人公の「私」同様、学生時代を京都で一人暮らししていた自分には、その世界がとても身近に感じられてしまいました。
不思議感というよりは既視感に近い印象でしょうか。
「四畳半=私的宇宙」な感覚と、大学に巣食う様々な連中との関わりは、ごく日常の出来事でしたので……
そのため、この作品に対する自分の印象は、客席ではなく楽屋裏から劇を覗いた感じの捉え方となってしまいます。
鴨川に五山送り火、百万遍。
社会からやんわりと隔離された京都でのモラトリアム。
その中で展開される物語は一見荒唐無稽に見えますが、じつは現実そのもの。
当時は自覚がなかったのだけれど、四畳半神話体系を観て「自分も不思議な世界の住人の一人だったんだなぁ」と、いまさらながらに気付かされました。
原作では4話の作品を、再構成して全11話としていることと、全編基本1人称展開で主人公の内面を眺め続けるため、若干飽きを感じる部分があるかもしれませんが、10話と11話(最終話)は観ることをお勧めします。
10話
{netabare} まさに四畳半オデッセイ。
果てしなく続く四畳半の部屋は「私」の異なる選択の結果としての平行世界 。
無数の平行世界を彷徨い、全ての部屋の蛍光灯にぶら下げられた「もちぐま」から、「私」はただ一つの「すべきこと」に気が付きます。
それは「もちぐま」を持ち主に返すこと。
すなわち「明石さんに自分の想いを伝える」こと。
{/netabare}
11話
{netabare} クライマックス
五山送り火の当日、鴨川デルタの橋の上、「私」はついに明石さんに想いを伝えます。
「成就した恋愛ほど語るに値しないものはない」と、最後まで「私」のスタンスで、しかし、しっかりと事後報告をしているあたりが笑えます。
{/netabare}
*おまけ
この物語の世界観は、森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」と共通しています。
興味のある方は、こちらも併せて読むと没頭感は増すと思いますよ。
その上で、さらに興味がある方は京都に足を運ばれてはいかがでしょうか?
ではでは。