OZ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
王道貫く自転車競技アニメの金字塔
2013秋~2014春の3クール掛けて放送された1期が
原作を買い揃える程楽しめ
引き続き期待に応えてくれた
2014秋~2015冬の2クール作品
■王道貫く自転車競技アニメの金字塔■
1期はレース途中で終わってしまい
しばしおあずけ状態となっていたが
興奮冷めやらぬまま最初からクライマックスで始まった
自転車競技アニメの第2期『弱虫ペダル GRANDE ROAD 』
見事なまでに少年誌らしい王道ストーリーであり
最初から"誰が勝利を手にするか"は
おのずと結果が見えてくるだろう。
結末が読めてしまうだけに
驚きや急展開こそ少ないが
安定感は群を抜いている。
何より惹きつけるキャラクター達が
今作品の人気に火をつけたと言え
主人公 小野田 坂道が属する総北高校のメンバーのみならず
箱根学園の面々や京都伏見高校の御堂筋等
ライバル達にもしっかりスポットが当り
主役サイドだけでなく
敵味方双方に魅力を感じられるのが特徴である。
加えて原作には掲載されていない
キャラクター達の意外な一面が覗け
本編の熱を程よくクールダウンさせてくれる
コミカルなCパートもアニメ版ならではの見所の一つ。
中でも第13話では
作中で登場するアニメソング「ラブ☆ヒメ」の
CDと入れ間違えた事から
校内放送で流れてうろたえる今泉と
対照的に満面の笑みを浮かべる小野田には
短いながらも抜群のテンポで
もっとも笑わせてもらったエピソードだ。
また OP ED BGM共にバッチリ盛り上げてくれ
音楽面も評価は高い。
前期OP「Determination」
後期ED「栄光への一秒」
BGM 「逆転」「ロケットスプリントスタイル」
上記の楽曲が特にお気に入りだ。
最後まで王道を貫いた
自転車競技漫画を代表するであろう
見応えのある熱血スポーツ作品である。
■二極化する展開の速度■
ここまでベタ褒めをしているけれど
手放しで称賛し難いポイントもある。
レース中に回想シーンが挿入される事が多々あり
大抵の人は観ていて「回想が多い」と感じた事だろう。
そう!お世辞にもテンポがスムーズとは言えないのだ。
確かに原作でも同様の意見は多数耳にし
レース→回想→レース→回想と
本筋がなかなか進まないので
フラストレーションを抱えるのも納得出来る。
しかし 裏を返せば
インターハイへ掛ける意気込みが
一人一人入念に描かれているとも受け取れるので
上でも書いた様に王道なストーリー故
結末は薄々分かってくるのだから
彼等が何故 勝ちに拘るのか?と
背景を含む過程が今作品の優れた点なのである。
「引き延ばし」又は「じっくり描いている」
二極化する展開の速度をどう捉えるかで
評価は大きく変わってくるはずだ。
■運び屋 荒北 靖友■
今作品はキャラクターが多数登場し
全員をお気に入りとして挙げたいところだが
もっとも胸を熱くさせられたのは
箱根学園3年生 運び屋の異名を持つ荒北 靖友である。
初登場時は如何にも悪役の雰囲気が漂い
特別気にも留めていなかったけれど
徐々に惹かれていき
第11話「サバイバル」で
彼のロードレースに懸けた想いが伝わる
直向な走りに魅せられてしまったからだ。
もともとは野球の才能に恵まれていたが
中2の夏に肘を壊しグレてしまった荒北は
野球部の無い箱根学園に進学する。
ただ荒れた日々を過ごすだけの彼だったが
福富 寿一と出会いロードレースに目覚めていくのだ。
けれど 荒北は経験が全く無いド素人。
インターハイに出場するには
福富に「人の3倍練習しろ 毎日だ お前一人で」と言われ
文句を言いながらも
毎日一人で人の3倍地道に練習を続け
強豪校でレギュラーの座を獲得するのである。
全ては箱根学園を優勝に導くため
そして挫折して折れ曲がっていた自分を変えてくれた
キャプテン福富に認めてもらうために。
インターハイラストステージで脱落する際の
「走った 走りまくった 前に
濃密な3年間だったぜ 福ちゃん
だよな だったよな
オレは おまえにだけはほめてほしいんだ・・・福ちゃん」
福富へ向けた感謝の言葉に
隠れて努力してきた荒北の3年間を想像すると
観ていて感動は自然と涙に変っていた。
攻撃的で口は悪く
見た目も決して格好良い訳ではないが
仲間思いであり真っ直ぐな性格からギャップもあってか
連載雑誌の人気投票でも上位なのが頷ける
実に魅力的なキャラクター それが荒北 靖友なのだ。
■あとがき■
1期が全38話で2期の全24話も合わせれば
5クール計62話と長丁場でしたが
期待通りに楽しめました。
このご時勢に5クール掛けて決着まで描かれたのは
本当に幸せな作品ですね。
今現在コミックスは38巻まで刊行され
2期でようやく原作の27巻に追いついたので
引き延ばし感は正直なくはないかな。
作風とは言え週刊少年チャンピオンの看板作品だから
大人の事情を含めて考えると仕方がない事なのだけれどね。
実は原作を纏めて購入するに至ったのは
31巻~32巻までに収録されている
とあるレースを目にしたのがきっかけでした。
これから原作を読もうか考えている人
又は決定していないが3期で観ようと思っている人達の
ネタバレになってしまうのと楽しみを奪いかねないので
詳細は隠させてもらいますが
そのレースの中心で描かれているキャラクターに
思いっきり感情移入してしまって
インターハイ編以上に感動させられたんだよね。
「もう大人買いしてしまおう!」って
気がついたらATMまで
坂道並のハイケイデンスで回していたよ(笑)
このエピソードは是非とも3期で観たいところ。
そうそう 3期と言えば
1期のDVD BDが全13巻で
1巻あたりの平均売り上げは約5,600枚。
2期はまだ3巻までだが
平均売り上げ約10,000枚と
1期に比べて倍近い数字なので
原作のストックは余裕が残っているし
3期も放送される可能性は充分ありそうだ。
それに今年2015年夏には
完全書き下ろしオリジナルストーリーの
劇場版が公開予定なので
夏に向けてまだまだ弱虫ペダル熱が上がっていきそうだよ。
3期は何時になるか分からないけれど
原作共にこれからも
楽しみながら応援していきたい作品っショ!!
満足度 ★★★★★★★★★☆ (9)