photon さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
レザボアドッグス
殆ど限定的な空間でストーリー(と呼べるようなものはあまりないけれど)が展開される感じ。そういう環境設定はフルハウスを思い出した。
本作品はストーリーもヒューマン・ドラマも無い(Emotion Fictionなヒューマン・ドラマなら存在する)のだけれど、多々みられた下品な内容はマインド・ウィルスの自己複製に優れている為、反響はあるのだろうと思う。下品であることが良いとも悪いとも思わないし、好き嫌いか感染の度合いによる処だと思う。
ヒロインが本を読んでいるといことだったけれど、描写や話の内容から大衆小説と文学を少しという感じなのだと思う。没頭すると影響され易いという描写があるにも関わらず語彙が無いのでそんな風に考えた。
明治中期までの古典文学は慣れてくるとリズムで読むような感覚が生まれるのだけれど、言文一致後の、特に漢文の素養のある作家が亡くなってから、作り手にそう言う意識を持つ作家が居なくなった為、読みづらい本が増えたのだとか。何故漢文の素養が文章のリズムに関係があるのかは記憶が怪しいので明記しないけれど、山本夏彦の著書から得た情報だということは覚えている。
この古典読書の感覚がヒロインにはみられないので、割と最近の本がメインなのかも知れないと考えた。また、ボッチという扱いになってはいるけれど、口にしている語彙から本よりも他者の影響の方が出る程度には人と接しているか、読書よりもネットの時間が多いかのいづれかなんだろうなと思う。
佳書どころか良書にも出会ったことがないんではないだろうか。
そうなってくると特徴付けの為の読書なんて(高校三年という設定だと猶更)印象は薄くなってしまうし、集中力というのも胡散臭くなってしまう。
ところで、作中で読書は易しい本から入る云々みたいな台詞があったけれど、現実だと易し難しではなく合う本合わない本があるということの方が重要だったりする。易し難しを説くのは凡そ読む本のカテゴリーに偏りがある場合で、馴染の無い人間への対応としてはあまり優しくない。
総評として、ほぼ限定された環境での展開が少し評価できる点だと思う。
個人的に一ヶ所突っ込みを入れたい処があったのだけれど、英国、バトラー、本って言ったらまずはサミュエルだろ。