あしすと さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
もしかして、中二バトル創作に対するアンチテーゼなのですか
以下、大真面目にレビューを書きますが、その内容はこの作品が本当に好きな人にとっては【酷評】になっている可能性があります。
それをご了承の上でお読みいただければと思います。
{netabare}
原作未読で、アニメのみでの印象になります。
シリアスすぎない中二バトルファンタジー作品は大好きなので、そのタイプの作品は基本的に全て見るのですが、このアニメは序盤時点で物凄く「戸惑った」作品でした。
その戸惑いをざっくり箇条書きにさせていただきます。
・1話目にジャイアンが出てきたときはどうしようかと思いましたw
・主人公の灰村諸葉の髪の色、あざとすぎてカッコ悪いんじゃ…。
・諸葉の性格、不安定では?真面目系キャラかと思いきや、突然エロくなったり…。
・申し訳ないのですが、メインヒロイン2人が可愛くない…。
→サツキはデレにメリハリがなくてテンション一本調子のギャグキャラだし…。
→静乃のクーデレは王道的ではあるんだけど、諸葉に対してというよりもサツキにに対して発動していて、ラブコメ的デレ成分が少ない気がするし…。
・バトルシーンもカッコ悪い気がしてしまう…。
→スク水みたいなアンダーウェアと軍服みたいな制服は、個人的にはあんまりカッコイイとは思わないもんで…。
→戦闘中にそんな長文綴られても…。
→最終話で諸葉がスーパーサイヤ人になったときもどうしようかと思いましたw
・隊長さん、強いんじゃないの?w 序盤に実力を一度も見せることなく、諸葉にいつの間にやら実力逆転されて不憫…w
・まぁそれもこれも、諸葉のパワーインフレが異常すぎるスピードだからなんですけどね。序盤はなんとかついていけましたが、終盤になると、もはや何段階思い出しちゃっているのかワケワカメでしたね。
・副隊長さん、あからさまなウザエロキャラ…。そんなにあからさまなギャグキャラにしなくても…。
・こんな感想になっている時点で、このアニメは中二バトルものではなくギャグものとして理解するほうが正確な理解なのか…?
まぁこんな感じです(笑)
それでですね、序盤のうちは、これらのことから自分はこの作品のことを
「対象年齢を低く設定した、中二バトルアニメ入門的な作品」
だと解釈してたんですよ。
だからこそ、設定がこんなあからさまに分かりやすすぎるのかな、と。
しかし、中盤でその考えはやめました。
よく考えてみればキャラの性格や物語設定を単純にしたところで、深夜アニメの対象年齢が下がるわけじゃないですもんね(笑)
じゃあ、いったいこの作品に感じる「戸惑い」という名の違和感の正体は何なのか。
その結論が、タイトルに挙げた「中二バトルに対するアンチテーゼ」です。
つまり、この作品は「格好つけてない」んです。
格好をつけるチューニングをしてないんです。
中二バトルラブコメ作品は、程度の差こそあれ、いかに主人公を格好よくチューニングできるか、ヒロインをいかに魅力的にチューニングできるかによって作品の人気が左右されると思います。
「俺が世界を守る」
「俺がお前を守る」
「君の瞳はエメラルド(恋愛パート・ラブコメパート、どっちもあり)」
「みんな・・・オラに力を分けてくれ・・・」
「布団がふっとんだ(ギャグパート)」
これらをそのまま作品にぶっこんだら、さすがにカッコ悪いですよね。
だから、原作者さんがそれぞれのセンスであざとくチューニングするわけです。
パッと思いついたのが上の5例でしたが、どの作品でも本質的な部分はこの5例に代表されるような単純なもので、それを格好よく、あるいは可愛らしくチューニングされていることが多いと思います。
しかし、この「聖剣使いの禁呪詠唱」
自分が思うに、そのチューニングをまったくしていないんです。
「布団がふっとんだ」のセンスを地でいっているんです。
そしてそれを「あえて」おこなっている、というのが自分の解釈です。
つまり、中二バトルは格好つけるチューニングをすることで中二バトルたりえるのであって、そのチューニングを行わない中二バトルはギャグみたいになるのだということを、アンチテーゼ的に表現しているのではないかと。
以上が、原作を読んでない自分がアニメから感じた勝手な感想です。
自分の好みとしては中二バトルものは目一杯カッコつけてくれるくらいで丁度良いので、この作品のスタイルが好きかと言えば決してそうではないのですが、
この作品が「あざといチューニングをしていない中二バトルアニメ」なのだとしたら、過去に類を見ない挑戦的な作品なのではないかとも思います。
{/netabare}
最後に一つ、どうしても気になっていたことを付け加えます。
ロシアっ子の、完全に隠れているはずの目が前髪から透けるキャラデザだけは、最後までどうしても慣れなかったです(笑)