cabinmild さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
没頭する世界観、骨太ヴァンパイアムービー
友人に勧められたのですが、絵柄がなんとなく受け付けず視聴を先延ばしにしていました。ところが見てみてビックリ。まさにこれぞ隠れた名作!と唸らされました。
まず冒頭2分のオープニングシーンで惹き込まれます。 {netabare} 「人ならざるモノが深窓の令嬢を誘拐する」というシーンですが、演出がオシャレ。十字架がへし曲がり灯りが消え狂犬が子犬のように怯えたかと思えば、一両の馬車が横切り、瞬間噴水の水が凍りつく。 {/netabare} 起こった出来事を明瞭に伝えながらも、化物の存在と恐ろしげな世界観が醸し出されています。
このような、粋な演出を感じるシーンが本作では目白押しです。冷めることなく作品の世界観にのめり込んでしまいます。
そして、主役のヴァンパイアハンターであるDが、ハードボイルドで格好いい。セリフは少ないのに、優れた演出も相まって「孤高なハンター」という印象がハッキリ伝わってきます。仕事はあくまで報酬の対価として行うという、ドライとも見えるプロの矜持を持ちながらも、劇中ほんの少しだけ覗かせる人間味がこのキャラクターに格別の魅力をもたらしています。
声優陣も豪華。大御所・名優・職人と呼ばれる演者さんがそれぞれ声を当てていらっしゃいます。主要キャストに限らず端役に至るまでキャラが立っているのは、声優さんの力も大きいと感じます。(個人的にはバルバロイ長老役の故大塚周夫さん、カーミラ役の前田美波里さんの演技がよかったです。)
BGMも素敵です。格調高いながらもおどろおどろしいメロディーが作品とマッチしています。(スタッフロール時に流れるエンディングソングは明らかに作品と合っておらず視聴後の余韻を阻害しますが、本編に絡んでくることはないので見て見ぬことにしました笑)
ただ、戦闘シーンはやや物足りなかったかなと。映画ですし、もうちょっと迫力のある画が見たかったなぁという残念感はあります。
総括。戦闘シーンは文句めいたこと言いましたが、逆に言えばそれ以外はパーフェクトと呼べるほどに満足な出来でした。シリアスものを求めている方には、自信をもってオススメしたい一品です!