すとーりーてらー さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
涙が枯れるほどに・・・
久々に号泣しました・・・それも最終話だけではなく、特に物語の後半はかなりの頻度で。原作の先生とアニメスタッフに感謝したい。こんな素晴らしい作品はなかなか見られない。
これは、桜満開の季節に出会った、中学3年の男の子と女の子の1年間の物語。ピアノとヴァイオリンの卓越した演奏家である「公生」と「かをり」。この2人が、同じ「表現者」として共鳴し、音楽を通じて心を通い合わせていく。時に激しくお互いを高め合い、時に優しく寄り添うようにして・・・
物語の序盤から、淡い配色の柔らかな描写やリアリティー溢れる圧倒的な演奏シーンに感動の連続。映像美、卓越した演出力はこの作品を語る上で絶対に外せない要素といえる。特に、構図の切り取り方やカメラワークは大変印象的であり、この点に関して2話と7話には個人的に忘れがたいシーンがある。
さらに素晴らしいのは、物語のプロットやキャラの作り込みに一切妥協が感じられないことだ。この作品は、多感な中学生を登場人物に据えることで、恋、友情、ライバル関係、トラウマ、憧れなど多くの要素を同時並行で描いているが、これらを上手く1本のストーリーに乗せている。少年誌ならではのバトル物のような「熱さ」と、細やかな心理状態を鋭い感性で描く「繊細さ」が同一作品の中で共存した類まれなる傑作である。これは、キャラの設定、物語を通じた人間関係の変化を妥協なく突き詰めた結果といえる。特に、主人公やヒロインの脇を固める友人や大人たちの役回りが素晴らしかったと感じる。
これだけ書いてもこの作品の良さを全然表現しきれていないことが、私はもどかしくて仕方がない。書きたいことはいくらでもある。OP、ED、BGMは何度も聞いてしまうほど素晴らしいし、続きが非常に気になる各話の引きの部分も絶妙である。とにかく言いたいことは・・・主人公の公生と共鳴し、ヒロインのかをりに恋し、物語の後半で涙を枯らし、そして、視聴後に待ち構えている、圧倒的な「四月は君の嘘ロス」に覚悟すべし!