シャベール大佐 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
意外と真っ当な作品という印象
いちおうストーリー的には人間とクマの禁断の愛を描いたお伽話のような作品。それが何を表しているのかの解釈は、観た人それぞれによっていろいろありそうです。
最初に1話を観たときは、なんだか意味不明だけど凄いのが来たな、って感じで、わからないなりに独特な雰囲気に強く惹かれました。それが観続けているうちに、段々と物語の筋が見えてくるようになります。エピソードを時系列順にせず、回想シーンを多用することで真相を小出しにして、観ている側の疑問点を少しずつ解決していく感じです。
最後まで観終わって感じたのは、ユリとかクマとか奇を衒ったイメージと違って意外と真っ当な作品だったという印象。人とクマという相容れない存在の間の愛というのを描いていますが、これを普通に人間同士の男女で描いたらそれこそロミオとジュリエットのようなラブストーリーになるところを、人とクマの、しかもユリで描くことによって、現実感や、肉体的・欲望的な生々しさを排除して、もっと観念的な結びつきとして描きたかったのかな、と感じました。またその愛も、恋愛的な愛だけでなく、友愛とか慈愛とか、もっと広い意味での愛も含んでいるような気がします。
また映像的には、クマの見た目が人よりかなり小さくかわいく描かれており、それが終盤のいくつかのシーンでは、忠犬ハチ公に感じるような小動物の健気さ的な効果があって涙を誘いました。
作画は綺麗で、音楽も良かったと思います。
あまりに奇抜な設定や作風で、観る人を選ぶと思いますが、個人的にはなかなか良い作品だったと思います。