アニメ最近始めました さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
人の孤独に迫る傑作
あにこれで評判良いため視聴しました。
結論は見るべきです。自信を持っておすすめします。
次何見ようかなって人はこれ見て下さい。
以下感想です。
スペースデブリの回収というあるかもしれない近未来が舞台です。
物語は人間に焦点を当てて、非常に丁寧に描かれており、舞台が宇宙である事は興味を持ちやすいような設定にしか過ぎないという印象です。
しかしその宇宙の設定もしっかり練られており、船外活動時の宇宙からのカットには真空なので音が入らないのに、船内のカットでは音が入るなどリアルに作られていて宇宙ものでありながら随所に設定に疑問を抱かせる事なく物語に没頭出来る工夫がありました。
物語は最初、新人の田名部愛を中心に進んで行きます。この新人にも3年目のハチ巻きにも感情移入はさほどなりませんでした。
「愛」がどうのこうのとほざく甘ちゃんと、デカすぎる「夢」に押しつぶされる3年程度の仕事で調子こいてるヤツがお互いに違い過ぎる故にぶつかり、惹かれ合って行くのはこれはこれで傍観してても面白い作りです。
その中で周りを固める船長やユーリ、課長さんなど各人のポリシーを強烈に発揮しながら2人を成長させて行きます。
どこにも完全なキャラクターはおらずどの人も個性豊かに丁寧に描かれています。夢とのギャップに苦しみながらも折り合いつける人、もがく人、前に進む人、方向変えて進む人、昔を忘れられない人と様々な生き方が表現されておりますが、人はかくあるべきとあえて言わないところがまた素晴らしい。
木星へ行く話が出てくる14話くらいから物語は、人間を丁寧に描く事から、より内面をえぐることへギアチェンジしていきます。
日常生活において、たとえ家族や恋人であっても全て言って聞いて完全な理解をお互いが常に達成しているわけではありません。そのような近しいけど近しいからこそ「わかってくれよ」というエゴに起因する内面の描写が抜群でした。
また内面の部分では自分を認めてやるのは自分、とも言いつつ、この程度で終わる人間じゃない、という葛藤が何度も出てくるあたりは秀逸で、一度触れても吹っ切れて俺最強ってなる物語が多い中、もがき続けて生きて行けっていう作品の強いメッセージだと感じました。
そんな危うい、フラフラと変わりゆく人間たちをつないで、みんなが苦しみながらまた生きていく糧にしているのが「愛」、人とのつながりなくして人は生きれないっていうのも、セリフに頼らず自然に描かれてました。
久しぶりに会ったリハビリ中の田名部にハチ巻きが一言目に謝らない事には「どのツラ下げて会話する気やねん!」と見ていて腸が煮えくり返る思いでしたが、これも愛の為せるワザなのでしょう(^^;;
日常を変えたい人は特におすすめします。
長文失礼します。