おぬごん さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
世界観と哲学的なテーマが魅力
神や魔女が実在する100年戦争時代の中世フランスを舞台に、
戦争を忌み嫌う魔女・マリアの姿から、愛と宗教哲学を描いた作品
まず特筆すべきは、その魅力的な世界観
徹底した時代考証に裏打ちされた中世フランスの世界に、魔女やその使い魔、天使などの、今日我々が「ファンタジー」と考えている要素が加えられ、リアルさのある生き生きとした世界が描かれていた
また作品を通じて描かれた哲学的なテーマも、他のアニメには無いものであり良かった
現代的な理想主義の価値観を持つマリアに伝統的なキリスト教的価値観を否定させたのと、
そんなマリアから「天啓」を受け、数百年先の考え方である理神論に行き着くベルナール、という対比も面白かった
その2人が最後にどうなったのか、というのも含めて
あとマリアが言ってることは確かに美しい理想なんだけれど、視聴者側からも「空気の読めないワガママ」にしか見えないように作られてるのも、当時の価値観を理解しやすくできていて上手いなあと思った
まあただここまで褒めてきたけど、テーマや世界観は良くても、話やキャラにそこまで光るものは無かったかなあというのが正直な感想
この作品は処女ネタ等の下ネタでこちらの興味を引きつけているのだが、そのせいで本筋の良さが打ち消されている感も無くはない
色んなところで「意外と面白かった」とか「隠れた良作」とは言われてるけど、手放しに絶賛されてるわけではないのはそういうところなのかなあ、なんて思ったり
ここからは余談ですが、私自身にキリスト教の教養が無いのと、クリスチャンがこの話を見たらどう感じるのかが気になり、某所で毎回の海外の反応まとめを見ていました
それを見ると、日本人的には「キリスト教に対して挑戦的」に見えるような場面やテーマも、向こうの人たちにとっては「常に議論されている」レベルだったみたいですね
ともあれ、海外の方々にも概ね好評なようですので、そちらを覗いてみるのも一興かもしれません