生来必殺 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
絶望という暗闇の中で、星は輝く
音楽と、純愛と、主人公たちの成長を描いた物語。
クラシックの音楽的世界観を邪魔しない、甘すぎない味付けの純愛展開の匙加減、
バランス感覚は絶妙。
音楽関係者に対する取材が上手く生かされており、単なる「のだめ」の二番煎じに終わらない。
中学生という割りにどこか大人びている主人公他キャラに若干の戸惑いを感じたが
本作で描かれたすべての構成要素が整合性を持って成り立つには、逆にこの年代が妥当とも言える。
世界で通用する音楽家を目指し、恵まれた音楽的環境の中で英才教育受け、
コンクールを勝ち抜いてきた主人公が精神的に大人びているのはむしろ当然であり、
そんな主人公の周囲にいるキャラも相応に大人びていないと釣り合いがとれなかっただろう。
一般論で考えたら音大生が主人公の物語の方が共感しやすいと言えるが、
本作において必要不可欠な必須項目は思春期の頃の純粋さと(音楽に対する)情熱である。
音を楽しむのが音楽だと人は言うが、主人公にとっての音楽は真逆に、むしろ苦痛に満ち溢れている。
天空の城から舞い降りたバイオリニストが、星はあなたの頭上に輝くと、囁いたとしても・・・
空が曇っていては星は見えない。曇りははれない。
過去のトラウマ体験によりピアノが弾けない主人公、ピアノを弾かない主人公。
彼は、自我崩壊のリスクを冒してまで、音楽と向き合うべきだろうか?
それが問題だ。
ある日主人公は、天空より現れたピアニカ奏者に出会い、灰色の空模様が動き出す。
そして物語が始まる。