karinchaco さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
重厚なテーマだが飽きは来ない。素晴らしい作品。
浦沢直樹の漫画が原作のアニメ。
舞台は東西冷戦後のドイツやチェコなどの東欧を舞台とした6クール74話で描かれる本格ミステリー作品です。
この作品に内包するテーマは冤罪や医療倫理、ベルリンの壁崩壊前後の混乱や児童虐待、人体実験など多岐にわたります。難しいテーマを扱ってはいるもののシナリオが魅力的なので長丁場でも飽きが来ない素晴らしい作品です。
長いシリーズにありがちな、アバンでおさらいをして冒頭5分以上物語が始まらないという尺稼ぎもないです。
この作品最大の魅力は登場する多彩なキャラクター達です。中には唐突に物語の中に登場する者もいますが、何らかの形で主人公のDrテンマか物語のキーキャラクターのヨハンらと必ずつながっていきます。それがまた別の回の伏線になっていたりして非常に面白い作りになっています。
また、登場人物の多くが中年や高齢者が多いということもあって、あまりアニメでは聞くことのない吹き替えに主軸を置いている声優さんが数多く登場します。
{netabare}私が一番好きなのは、この物語の原因の一人フランツ・ボナパルタ役の野沢那智さん。この劇中でヨハン・ニナ兄妹に対して「人間は何にだってなれるんだよ」というセリフがたくさん出てきますがこの不気味さと言ったらないですね。なかなか物語の中で彼の動きは描かれてはいませんでしたが、終盤ルーエンハイムでホテルのオーナーとしてのうのうと隠遁生活を送っている彼を見つけたときはようやく出てきたかといった感じで見ていましたよ。{/netabare}
また、重厚な声優陣に交じってニナ役の能登さんの演技力もすごいですね。非常に難しい立ち位置の役を見事に演じ切っています。能登さんを知ったのは同時期に放送されていたケロロ軍曹ですが、彼女のファンになったのはこの作品を見て以降です。
この作品は2004年の作品ですが、1クール中心。せいぜい2クールが精いっぱいの現代の深夜アニメではこのクオリティの作品は登場しないでしょう。ジョジョ3部も分割4クールですしね。