「四月は君の嘘(TVアニメ動画)」

総合得点
91.6
感想・評価
5068
棚に入れた
20155
ランキング
28
★★★★★ 4.3 (5068)
物語
4.3
作画
4.3
声優
4.2
音楽
4.4
キャラ
4.2

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ネタバレ

ダレイオス さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一人の男の子の成長物語としては素晴らしかった。

見始めて思うことは背景の作画はかなり鮮やかで綺麗ですね。
夕焼けのグラデーションも凄く良くて
絵自体もきめ細かくも描かれてもいるし、最初のつかみは好印象です。
キャラの作画は癖があるので人を選びそうですが
自分はキャラも丁寧に描かれているので満足すね。
キャラの作画の動きも、かなりスムーズなので自然に動いていて
期待が出来る滑り出しです。

次に気付くことは主人公の公正が妙に中学生離れした
台詞回しを言うキャラですね。
とにかく感情を表に出すキャラではないんだけど
今までトラウマを抱えて生きてきて色々苦しかったこともあって
語られる台詞には重さがあり
声優さんの演技力もあって感情のこもった喋りになっていて聞いていると
この世界にドップリと浸かれるくらい彼の喋りには説得力を感じました。

このアニメは元々はコンクールで優勝しまくってた主人公の公正が母親の死亡やトラウマに
よりピアノをやめてしまって2年たった所からスタートするアニメですね。
主人公については天才タイプなのか努力(母親の英才教育)により
身に付けた実力かはよくわかりませんが昔は練習していたが
今は練習しなくなったのと
トラウマにより演奏中自分の曲が聞こえなくなるという(心の病かな?)症状のため
現在は全然駄目な状況で正直見た目もあってヘタレキャラですね。

そしてヒロイン、かをりとの出会いはインパクトがあるものでした。
個人的にはヒロインとの出会いは、大切なイベントなので
大事にしないといけないと考えているのですがかなり丁寧でしたね。
かをりが公園の遊具の上で裸足でピアニカを演奏するシーンは
かなり印象的でインパクトに残りました。
なんか綺麗なんですよね。このシーン主人公に対してもそうですが
見ている視聴者にも、かをりは、いい女の子と印象付けるには十分なものがありました。
そういえば作画もこのシーンは特に凄い、このクオリティーがあってこそ出来た名シーンだと思う。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが実は最後まで見ると
この出会いには秘密があったんですね。
この作品の関係者は主人公とヒロインの出会いの大切さがわかっていて
その点は個人的には感謝です。

2話でも、かをりがコンクールでバイオリンを演奏するのですが
かをりの前に曲を弾いたモブキャラの演奏シーンが止め絵で凄く残念なので
あんまり、よくないなと思って見てたら
かをりの演奏シーンは凄く力強く弾いていて躍動感があり聞いていて凄い。
作画も凄く動いて前の演奏者とのギャップがあり素直にカッコいいと思いましたね。
確かにアニメ内の観客が拍手していて大喜していたのに納得の出来るだけのアニメの出来はありました。
それだけでも説得力があるのに公正が詩人みたいな語りで
かをりについて語るのですが、その全てが状況を上手くつかみとって
「彼女は美しい」の台詞には思わずうなづいてしまいました。

そういえば、かをりは他の男の子を好きな割りに公正に対して
積極的な行動をしていましたね。
バイオリンの伴奏者の依頼を公正にしたり
、別に公正でなくてもいいのにくどいなとは思いましたが
彼女の嬉しそうな態度を見て薄々は感じていただけに
最後まで見て二回目を見ると理由がわかるだけに泣けるんですよね。

そして最初の、かをりと公正のコンビでのコンクールは
かをりが一人で弾いていた時とは違い、公正がいるので
ちゃんと息のあった演奏が出来るのかと心配しながら視聴しないと
いけなかったので緊張感はありました。
そして公正はトラウマがあるのでそのことも心配しないといけないと
状況が絡み合ってより緊張感が高まりました。
トラウマについては自分は駄目だと
後ろ向きになる姿やまたピアノを弾く恐怖におびえる感じの心理描写はかなり良くて
そのトラウマは視聴者までトラウマになるくらい素晴らしい。
そしてトラウマになりながらも
かをり、と喧嘩に近いような殴り合いの演奏は聞いていて
これは凄いなとい思いました。もちろんコンクールの演奏としては駄目なんでしょうけど
このさい関係なく、いいなって思いました。
演奏については話数が進むにつれ、衰える所か本当に良くなっていきました。(視聴者的にですね。)

中盤以降は、かをりが公正を持ち上げて励ます展開なんだけど
公正は自分自身の分析力も優れていて、自分が駄目だという自覚があり
他人に持ち上げられても冷静なのがポイントでしょう。
そのためヘタレなので普通ならイライラする展開なのですが
心理描写がいいだけに、やる気が出ないのには説得力があり
主人公に共感出来ました。

公正のかつてのライバル達が久々に会った公正の
思い出話を第三者の目線で見せてくれたことにより
公正がどんな奴だったのかがよくわかるし
ライバル達もどんな思い出で2年間過ごして来たのかがよくわかるので
ライバル達の描写はとても良かった。
ライバル達にも見せ場があり演奏シーンは鳥肌でしたね。
やはりアニメといえども一生懸命頑張る姿は素晴らしい。
このことによりライバル達が実は公正のことを
どんなに敬意を示していたのかがよくわかるので
こういう関係はいいなって思いました。

公正の演奏はずっとトラウマとの戦いのループでした。
とにかく、このアニメは公正のトラウマを克服して成長するシーンを描き
たいがために母親の虐待シーン、子供のころの公正が周りからよく思われてなかったシーン
などの回想が長いです。
これは普通の人なら鬱になりますね。
だけどそのおかげで公正の気持ちが痛いほどよくわかる。
どうして公正がこうなってしまったのかに説得力を持たせることが出来たし
克服したことに説得力を持たせるためにも
この長い過程は必要だったと個人的には思いました。

幼馴染の椿に関しては幼馴染としてしか見ていなかった
主人公を男の子として見るようになるというテンプレな展開でしたね。
幼馴染の扱いは難しいのでどうしてもそうなってしまいますね。
椿の場合は特に物語開始の時点で
本人は気付いていないかもしれませんがそれらしい素振りを見せていたので
ツンデレ幼馴染が主人公を男の子として見るようになるまでの過程を
徐々にやっていたようです。
その過程で過去の主人公の回想しながら主人公は幼馴染と自分に念じるのだけど
かえって主人公を意識してしまい完全に恋心に目覚めてしまう奴ですね。
これは椿の可愛らしさをよく表現できていたと思うし、とても良かったです。
あと妙に公正と仲睦まじい状態になるので
これはラストに向けて収束しようとしていたのが
なんとなくだけどわかりましたね。
究極のネタバレになるので書きませんが、うーんやっぱりなぁと思いました。

最後は個人的には急展開だったかな
2回目見た時にはフラグ立てていたのがよくわかるのですが
1回目だと、あのラストは予想は付きませんでしたね。
なので、最後はしんみりしちゃいました。まあそれでも、いい話だったと思います。
こういう話は結果よりも過程の方が大事なので
そこに辿り着くまでのストーリー素晴らしかった。
個人的には大満足ですね。

気になる点はSDキャラによる女性陣の暴力ギャグ
シリアスの中にこういったギャグで一息付く展開がしたいのはわかるけど
あまり好きではないですね。
二次元では女性の暴力=ギャグみたいですが
このアニメは特に唐突の暴力ギャグなので引っかかるかな
不快ではないけど引っかかる

作画は上にも書きましたが、とても綺麗でした。
他にも川に飛び込む所の水しぶき凄かったり
サッカーしている時の作画枚数かなりあり頑張っていたり
細かい所も頑張っていましたね。
演奏している所は実写でもいいのでは思えるほどスムーズなので
違和感なく見れて良かったです。
演出も頑張っていました。トラウマの描写もホラーに近いのですが
そのおかげで公正の気持ちが伝わってきて満足です。

声優さんについては作風から演技力を問われる作品でしたが
実写的な部分もあるのでいかんせん、派手な演技ではないのですが
かをり役の種田さんは場面場面での力強い一言が印象的でかなり良かったです。
感情的な演技が望まれる場面でも上手くてヒロイン役としては文句がなかった。
椿役の佐倉さんは妙に子供っぽい演技が幼馴染に役に合ってました。
佐倉さんは基本的に上手いとは思いますがあまり上手いと感じない演技なので
そうった演技は今回は合ってました。
公正役の花江さんはあまり活発でないキャラの役なので
上手くないとこの手の役にありがちな棒気味になる所ですが
そんなことはなくハッキリと力強く聞こえかなり感情のこもった演技でしたので
ポエムように喋る公正の気持ちは痛いほど伝わってきて上手かったです。

これはかなりレベルの高いアニメでした。
最終回まで見るとそこに収束させるために色々な伏線を張っていたのがわかるので
2回見ても楽しめると思います。
トラウマについてもこの長さがあるからこそ公正の気持ちが視聴者に伝わるわけで
下手に短縮しても物語の重さは伝わらないでしょう。
一人の男の子の成長物語としては素晴らしかった。
物語は素晴らしいし、作画も凄く良く
声優さんも頑張って、当然音楽も素晴らしく、キャラにも好感が持てたので
このサイトのシステム上高評価せざるえませんね。

実はそこまでのアニメとは思わなかったのですがいざ物語、作画、声優、音楽、キャラ
と確認してみると、素晴らしい出来だったんだなとわかりました。

投稿 : 2015/03/26
閲覧 : 396
サンキュー:

21

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