おぬごん さんの感想・評価
3.2
物語 : 1.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
雑雑アンド雑
第二次大戦時の大日本帝国海軍の軍艦を擬人化した、大人気ブラウザゲームをアニメ化
視聴前の知識は、二次創作で有名なキャラを数人(数隻?)知っている程度
深海棲艦と呼ばれる未知の敵と戦う最前線「鎮守府」
そこに新たに赴任した主人公、新米「艦娘」の吹雪を中心に物語は進む
…のだが、もう何から何まで雑
ほんとに雑だった
そして新規視聴者は完全に置いてけぼり
アニメ化って既存ファンへのアピールも大事だけど、一番の目的は新規ファンの開拓じゃないの?
以下、悪かった点と、少ないながら良かった点について雑感
〓〓〓 悪かった点 〓〓〓
まずこのアニメの一番の特徴は、ゲームにおけるプレイヤー、つまり我々の分身にあたる「提督(=司令官)」が、画面に全く映らないことだ
見る側のイメージを崩さないその配慮は分かるし、提督を完全に排除すると、金剛のような提督にぞっこんのキャラの魅力が失われてしまうから、やはり提督の存在は必要、というのも分かる
だがそうであるならば、なるべく提督が話のキモに関わらないよう配慮すべきだったはずだ
{netabare}
特に後半は、そんな存在はするのに姿形は全く描かれなかった提督が消息を絶ったりするものだから、もうこっちは困惑しまくり
そこで金剛らキャラの提督への心情を見せてくれるのかと思いきや、完全スルー!
挙句には「吹雪を重用するのは提督の夢に出てきたからだ」なんてキモい事実まで発覚する始末
…例えばこの提督がここまでイケメンで有能な提督として顔と声付きで描かれていたりして、その提督が照れながら上の事実を話したりしたら、視聴者の受け方も大きく変わってたし、提督も愛されていたことだろうに
{/netabare}
同時期に「デレマス」が超個性的かつ視聴者に愛されるプロデューサーを出してきたものだから、この点の雑さと破綻が非常に目立った
もう1点目立った雑な点は、セリフ回し
もう初見の私ですら「これ原作のセリフなんだろうな~」と分かる、違和感しかないセリフのオンパレード
海上で出撃中の金剛がいきなり「提督~触ってもいいけど時間と場をわきまえなよ~」とか言った日には、提督が描かれないことも相まって、このアニメの世界は本当にゲームの中で、提督は別世界のPCの前にいるのでは、とさえ思ってしまった
大井・北上のお約束百合パートのはさみ方とかも非常に雑
話の流れをぶった切る形で挿入される上に、やたらと尺を食ってたのでテンポも非常に悪かった
最終回の2人のシーンは最初は笑ったが、テンポが悪いのは相変わらず
あと驚いたのが、序盤(1話かな?)の年少のキャラたちが学校のようなところで講義を受けるシーン
ここは難しい問題に主人公吹雪がすらすらと答える、吹雪の真面目さを印象付けるシーンなのだが、こういう場面は、世界観や専門用語の説明、もしくは伏線の提示もできる便利なシーンだ
例えば問題を「軽巡洋艦、重巡洋艦の違いについて説明せよ」とかだったら、恐らく軍艦について何も知らないであろう大多数の新規視聴者にも凄く優しい
しかし実際にアニメで出されたのは魚雷に関する薀蓄で、しかもそれが後の展開に活かされることも無し
正直言って、私はこの時スタッフが初見への配慮を考えていないことが分かってしまい、萎えてしまった
〓〓〓 良かった点 〓〓〓
一航戦と五航戦の関係を描いた5話、7話は、キャラの関係、ギャグ、主人公吹雪の絡ませ方とかなり上手く出来ていて、全体の中ではほぼ唯一褒められる出来だった
…ただ「一航戦」「五航戦」なんて言葉を何の説明もなく使いまくる新規視聴者置いてけぼりな作りを除いては
キャラデザは絵師が違うキャラクター達を、可愛く統一性を持たせて上手くアニメ絵に落としこんでいて文句なしに良かった
…だからこそ、話と作りの雑さが悔やまれるのだがw
あと、声優陣の演じ分けも、他のアニメでは味わえない魅力だった
特に佐倉綾音の長門なんかは、他のアニメでは聞けないクールでカッコいい声で驚いた!
OPとEDの曲もとてもカッコ良かった
戦闘シーンでは、空母の放った矢が戦闘機になる演出が、初見ではちょっと笑ったけど素直にカッコ良かった
ただ戦闘シーン自体はCGが露骨だったのと展開がワンパターンなのとで全体的に見れば微妙だった…
〓〓〓最後に〓〓〓
さて、最終回の後には続編決定の報せが出たが、この出来ではとても期待などできない
…恐らくスタッフだって、艦これという題材でこんな雑なアニメを作りたかったわけではないだろう
そう、きっとそこにはあったに違いない
抗うことのできない、何か大きな力のようなものが…