タマランチ会長 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
予定調和でもうひと押し足りない。問題は脚本にあり。
私はカワイイ女の子が死んじゃう話で泣けないのは人間じゃないと思っています。だから、もう途中から死亡フラグ立てまくりで、後半は観るのもつらく、視聴が滞り、最終話はもう万全の状態で泣けるように心の準備をしました。しかし、最高の泣き所で涙が頬をつたうことはありませんでした。原因は「予定調和」だったからと分析しています。
なんつーか、こういう泣ける話っていうのは、後半必ず「サプライズ」があるのが王道なんです。あの花なら「実はめんまはゆきあつやなるこの画策を知っていてなおその場に赴いていた」ことが、つるこの告白で明らかになるとか。ここで観ている人は「えっ!そういうことだったの!?」と、万感の思いで物語を見直すわけです。あの夏でも、最終話に向けてきちんとそういうものは準備されています。泣ける作品なら、基本の「き」だと思うのです。
この作品の場合、{netabare}最終話Bパートで、「亮太くんを好きといったのはウソです!」みたいな告白がありましたが、そんなもん視聴者の全員気が付いています。最後「好きです」も分かってるって言われなくてもって感じ。全然びっくりしないんですね。
メインキャラがカウントダウンで病死するなら、こういった何らかの「仕掛け」を用意しておくのは常套手段なんですけど、この作品はそれがなかった。{/netabare}つまり、伏線を貼ってサプライズを用意するような、脚本段階でそういうものが用意されていなかったということでしょう。病弱な女の子が最後の命を燃やして精一杯生きたっていう、もう泣かずにはいられないベタなシチュエーションを、最大限生かせなかったのは実に残念。多分原作漫画がそんな調子なんでしょう。情緒に訴えた少女マンガ的作品。まあしょうがないのかもしれません。
多くの人が指摘していますが、過剰な暴力描写はいただけません。実写映画的、リアルで等身大の少年少女の風景、この作品の雰囲気を壊しています。
ここまでクソみそに書いていますが、決して面白くなかったというわけではありません。いい作品だったと思います。ただ、名作になれるだけのものをそろえながら、生かせなかったのは本当にもったいないと思います。