Lovin さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
観た感じ
■概要{netabare}
原作:新川直司
監督:イシグロキョウヘイ
シリーズ構成:吉岡たかを
キャラクタデザイン:愛敬由紀子
制作:A-1 Pictures
話数:2クール全22話
OP1:「光るなら」
by Goose house
OP2:「七色シンフォニー」
by コアラモード.
ED1:「キラメキ」
by wacci
ED2:「オレンジ」
by 7!!
{/netabare}
■感想
原作漫画は未読でTV放送を視聴。多くの人間の人生を狂わせる話。
幼い頃から母親にピアノを叩き込まれていた少年。それは彼にとってトラウマでしかなかったが、そんな悲しい記憶の中の発表会で奏でた曲は、同世代の多くの人生に影響を与えていた。金髪の少女もその一人で、その他大勢の場合はピアノでの勝負を望んだが、彼女の場合は共に演奏することを目指してヴァイオリンに転向した。
正直なところ序盤の展開からあの結末は読めた。読めたがそれを観るのが嫌で1クール目辺りで視聴を止めていた。「嗚呼、この作品も断念かな」とまでは行かないが何となく止めていたところ、ある方の「レビュー待ってます」の一言で視聴を再開した。その結果、予想通り最悪の結果が出てしまった。
結末は悪くない、と言うより良い。だが結果として残ったものが最悪だったと言うこと。ああいう結果にならず、違う展開になって欲しかった。でもあの結果でないと色々辻褄が合わなくなる。ああいう結果に落ち着いたことで得られる感動もあるだろう。この物語は悲劇である。多少明るいOPに騙されてはいけない。
レビューを書いていて思うが、少年と少女の立ち位置は逆だったのではないだろうか。初めから何の疑いも持たず少年が主人公だと思っていたが、実は少女の方が主人公で、少年は少女の人生を彩るためだけの存在だったのではないだろうか。事実、それまでも彼女にはあったのかもしれないが、少年のピアノを聴いて一緒に演奏すると言う明確な目標が出来ている。
そしてトラウマに苦しみピアノから離れていた少年は、少女の強引な誘いにより再び表舞台に姿を見せる。その結果、今度は少年が少女と一緒に演奏したいと思い始める。まるで幼い頃の自分の演奏を聴いて影響を受けた人々のように。あのときとは立場が逆になっているが、少年も演奏することの喜びを見出し始めていた。
そしてあの結末を迎え、少年が受け取った少女からの手紙の内容から「やっぱりそうか」と、序盤に見せた少女の不可解な言動に納得がいく。しかし自由奔放に振舞っていたとは言え、夢に近づくためだったとは言え、たった一つのあの嘘を貫くのは苦しかっただろう。そのために本当の気持ちを隠し続けなければならなかったのは辛かっただろう。その全てがあの、少年が手にした手紙に込められていた。
ぶっちゃけ、この期は他にハマった作品があったのでそれほど強く印象には残らないだろうと思っていた。しかし終盤になり少しずつ事実が明らかになるに連れ、段々と重苦しくなっていったが、最終的に確実に視聴者、少なくとも私の心に強い印象を残した。何故視聴を止めてしまったのか、リアルタイムで観なかったのかが悔やまれる。
結末は一寸切ないハチクロⅡを連想した。悲劇的だけど皆が希望を持てているようで前向きになれている、そんな締め付けられるような展開に、ほんの少しの恋愛要素が盛り込まれた、夢も希望もある中学生らしい物語だった。この作品は男女問わず受けるだろうと言う印象があるので、いっそのこと老若も問わずお奨めしたいと思う。
■蛇足{netabare}
書くことねぇ。
{/netabare}