karinchaco さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
非常にレベルの高い青春ドラマ。
PAworksのオリジナルアニメ。
高校の合唱部を舞台にした青春ものですね。主要キャラといえる合唱部の所属メンバーは5人で男2人、女3人という黄金比率。恋愛要素は皆無ではありませんがかなり薄く、むしろ、5人それぞれの成長の物語という側面が色濃いですね。
ここからは気になった点をトピックごとに書いていきます。
・ヒロインの成長物語?
青春群像劇の要素が強いこの作品において、キャストトップを務める主人公は音楽科の学生だったが母を亡くしたことで音楽を離れ普通科に転科した坂井和奏なのですが、序盤から物語を引っ張るのはむしろ宮本小夏の方です。
最初は小夏が主人公だと思っていたのですが、中盤以降の和奏と母親とのエピソードや過去のトラウマを乗り越えて成長をする過程は和奏をやっぱり主人公と確信させるものでしたね。
そして、和奏のエピソードと同じくらい紗羽についても掘り下げられていましたね。進路の悩み、親子の確執など結構ボリュームもあったと思います。
この二人とは対照的に、物語のけん引役を担っていた小夏の成長エピソードが薄く見えてしまいます。教頭や声楽部のメンバーとの確執を乗り越えていく姿は描かれていたものの成長の結果というよりは、状況の変化により周りが小夏のことをやっと理解したという印象なんですよね。小夏の場合は成長の物語というより信用を取り戻す物語という見方のほうが正しいのかもしれません。
・白浜坂高校は教育機関として大丈夫?
教頭については終盤に人間味あふれる姿を見せたことによって好感度がアップしてしまいましたが本質的には教師としてどうかという行動が目立ちました。たしかに小夏は大きな失敗かもしれませんがチャンスを与えず譜面めくりに干し続けるというのはやりすぎではないですかね。その他にも重箱の隅をつついて目の敵にするというのもいただけません。
校長も小夏たち合唱部のメンバーにとってはいい教師だったかもしれませんが、そもそも合唱部の顧問になったのは和奏の名前を設立届けに見かけたためだったとか、日和見で文化祭中止の発表を遅らしてしまうところとかは大丈夫かと疑ってしまうレベルです。
理事長については作品を視聴済みの方はもはや何の説明もいらないくらいですね。このような人物を理事長に据えてしまうことに問題があったと思うので、むしろ学園経営から撤退して高級老人施設でも設立するのはお似合いだと思います。ただ、儲かれば何でもありという考え方のこのような人物では立てた施設も早晩つぶしてしまうかもしれません。
まあ、理事長と比べれば教頭・校長ともに教育者ですから終盤にはその力を存分に発揮する機会があるのが救いですね。
全体を通しての感想ですが、作画のレベルも高くシナリオもすごく面白いと思います。さすがクオリティに定評のあるPAの作品です。私的にすごくツボったのは第1話で声楽部が歌っていたtrue tearsの主題歌の合唱バージョンでした。こういう細部に至ってファンを楽しませる姿勢はポイントが高いです。合唱部がテーマとあってOPもEDも劇中歌もクオリティはかなりのものです。
お薦めの作品です。