29号 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「人の心に何かを残す作品」
原作は新川直司氏の同名漫画。
監督はイシグロキョウヘイ氏。
この方は今までは演出を担当されていたみたいですが、今回は初の監督作品のようです。
アニメーション制作はA-1Pictures。
全22話。
いわゆる音楽ものです。
まず初めにこの作品をまだ見て無い方はすぐに視聴することをオススメします。凄く良い作品です。
あるトラウマを抱えた天才ピアニスト有馬公生と前園かをりという少女が出会う所から物語はスタートします。
良く言えば凄くシンプル、悪く言えばベタで何となく先が読めるストーリーですが、ベタで変に捻ってない演出故にまっすぐ心に突き刺さります。
最後まで見た後にぜひもう1度1話を見ていただきたいです。よりグッときます。
たびたび他のレビューでも書いていますが、1話と最終話がいかに繋がるかを重視する私としては作品としては大変満足するものでした。
{netabare}
個人的にはハッピーエンドで終わって欲しかったですが…。
{/netabare}
作画は色鮮やかな描写も多く特に気になる点はありません。
2話で早くも度肝を抜かれました。
{netabare}
ヴァイオリンを弾く動作と音がかなりシンクロしています。音の強弱に至るまで表現されているのは圧巻です。
その後の演奏シーンは、一部挿絵みたいになっている所もありましたが、それはそれで良かったです。
{/netabare}
声優陣の方々の演技も素晴らしかったです。
比較的若い方って感じでしたが、皆さん実力がありますね。
主人公の有馬公生には花江夏樹さん。
凪のあすからの矢島光やアルドノア・ゼロの界塚伊奈帆を演じており、個人的には彼が主役の作品は相性がいいです。
ヒロイン前園かをりには種田梨沙さん。
他には佐倉綾音さん、逢坂良太さん、早見沙織さん、
梶裕貴さん、能登麻美子さん、茅野愛衣さんなど…。
皆さんの演技がより作品の良さを際立たせていたと思います。
私が何より良かったと感じたのが、キャラクターの立ち位置です。
有馬公生と前園かをりの主軸で物語が進むのですが、
日常パートでは幼馴染の澤部椿と渡亮太の2人が、
音楽パートでは相座武士と石川絵見が、
それぞれ良い役割を果たしている。
個人的に好みだったのが渡亮太です。
{netabare}
サッカー部の部長で女子からの人気も高く、自他共に認める女好き。お調子者っぽい感じだが、意外と周りが見えていて、要所で公生の支えになっている。
特に好きなシーンは、第17話
「わがまま言うのも頼られるのも、彼女が何かしてほしいっていうのは決まってお前だよ公生」
と言う所。
おそらく渡は早い段階でかをりは公生の事が好きで自分には気がないと気付いていたと思う。
「無理かどうかは 女の子が教えてくれるさ」
この言葉が全てでしょうね。
渡は自分は違うって感じたんでしょう。それを承知でいつもの渡亮太として接した。
このシーンを踏まえた上で最終話の教室でかをりとのツーショットの待受を眺めるシーンを見ると切ない…渡りもかをりの事を本気で…そう思わせるシーン。
「優しい奴は損するって決まってんだ」
この言葉が心に響く。
{/netabare}
音楽も凄く良かったです。
特にOP「光るなら」
これはこの作品のために書き下ろしたんでしょうね。
{netabare}
「君だよ 君なんだよ 教えてくれた」
お互いを君と呼ぶ所。
「暗闇も光るなら 星空になる」
たびたび星空シーンがある所。
特に16話公生とかをりが自転車で星空の下を走るシーン。
2番の歌詞に
「涙も光るなら 流星になる」
という歌詞があります。
かをりが泣く所で流れ星が流れます。
素敵な演出です。
{/netabare}
さてここからは反対の観点から。
全体的にセリフが「詩的」になっています。
私は特に気にならなかったですが、嫌いな方は嫌いでしょうね。
それと暴力シーン。
一部の方からは批判的に捉えられていますね。
確かに過剰な演出かなとも思いますが、それを理由に視聴を辞めて欲しくないです。
このアニメを一言で表現するのであれば、紘子さんのセリフを借りて
「人の心に何かを残す」
そんな素晴らしい作品です。
ぜひ視聴してください。