イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
銃使いの少女たち
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批評。
年端もいかない子供が暗殺者である。という意表をつく本作は、流行の浮ついたものとは一線を画する造作である。
社会福祉公社という名前からして、隠れ蓑には適応性があるだろう。
しかし、都合よく投薬によって記憶を操作する、または従順さを強制できるといった設定には疑問を感じざるを得ない。
それらを指摘すると、ストーリーとして成立しないのである。何より、どれほど行動を訓練させようと、発覚の危険性において、いくら入念に計画を立てても精神面で不安定さのある洗脳された子供を暗殺者として仕立てあげる、こんなことを国家が承認する可能性は極めて低いといえるだろう。
よって、一部の能力が高くとも、総合で試算すると必ずしも用いるに値しない。
これらの致命的問題点を、いわゆるお約束として看過するならば、他は至って用意周到に準備された設定で視聴できる。
機密性を保つために、公社内各所にある監視カメラの設置描写、外出一つするにしても、外出届が必要な場面の描写など徹底した規律が見られる。また、訓練風景、子供の選定場面など、説明すべきエピソードをきちんと配置した造作は評価できる。
現場での下準備は、大げさにやりすぎているきらいはある。却って周囲に気づかれるものであり、暗殺の基本に従っていない。
また、暗殺の目撃者を消す行為、暗殺前後に走る行為など、セオリー無視な内容も目立ち、決して首を立てに振れないところはいただけなかった。
特質すべきところは、公社の子供たちと、兄妹といわれる付添い人、または訓練教官との精神描写の細やかさである。
台詞の間や、声音などの部分を最大限に生かして、かなり繊細な子供心を描いている。
恋愛感情ともつかぬ年上男性への想い、道具として使う少女たちから寄せられる信頼への戸惑い。
また、つい先ほどまで話し合っていた同年代の少年への暗殺を命じられても、何事もなかったかのように決行する異常性。
善悪の判断ではなく、命令と思慕の念で動く少女たち。投薬のため彼女たちの対応年数は低く、長くは生き延びられない。
それらを小さな身で受け入れていく様は、悲痛である。
資金提供者からの暗殺依頼などに応じる公社の腐敗などもリアルさを増すエピソードといえるだろう。
よくできた戯曲である。
アニメというより、よほど戯曲といったほうがそれらしい。
感想偏
正座しているかのように几帳面に書いた批評だが、感想はそうではない。
だいたい、こんな子供に暗殺をやらせようという考えを承認する首相も首相だ。
しかも使い捨て。まったく無駄というより、損失しか出していないではないか?
今からしっかり鍛え上げれば、将来、屈指の義体使いに成長することは間違いない。
しかも、そのようなケースは民事でまずありえない。軍事に転用できるレベルに到達するとなるとなおさらだ。
屈指の義体使い大量養成作戦も思いつかないのか……まったく将来性も連想できないとは、どうしようもない無能さだ。
国家からきちんと予算を出さないで、変なところからスポンサーを募るから、やらなくてもいい暗殺を決行しなくてはならんのだ。
それに投薬、あんな真似をして、一番大事な脳核を壊してしまっては害ばかりだ。他の部分は挿げ替えていける可能性はあるが、脳核は取替えが利かない。薬で縛り付けるのは、人間を元々信用しないやつのやることだ。そんな奴がトップに立って命令権を握る。それでよく周囲がついていくな?
組織のトップに立つ人間が、自身の利権争いの道具として組織を利用し始めた時から、緩やかな死が始まる。
首相にそういってやれる部下もいない。そして、末端の工作員たちからも、意見もない。意見を許さないというスタンスそのものが腐敗の元だ。
反逆は死あるのみ。カッコよいとでも思ったか? リアルだから何なのだ。俺はあきれるだけだった。
リアルだとは書いたが、有能とは一言も書いておらんし、別に賞賛も肯定もしていない。
シビアでプロのような行動に見えるが、使い捨て前提の組織だ。総合的なレベルは酷い有様だな。
そんな体たらくでは、組織としての寿命は短いだろう。
元々それも設計済みなのだろうがな。
とても個人的に、キャラクターへのメッセージ。
ヘンリエッタへ。
本当に向いているのか暗殺の仕事?
どうも繊細過ぎて、将来やっていけるかどうか不安だな。
何かの拍子にうまくいかなくなりそうな危うさだ。
ヘンリエッタ、お前の義体化率はいくつだ?
俺が知っている鷹の目使いもいっていたが、アフリカ辺りは想像以上に過酷で、義体を増設したそうだ。
そいつは精神面ではタフな奴でな。そんな奴でさえ増設する。精神が弱いならおぎなうために増設するべきだ。
チタンで脳殻を囲って、義体化率を92.4%のフルモード、PKF仕様 イモータル義体の換装を薦めるぞ。
精神面に不安があるのなら、悪いことはいわんから完全義体になるまで増設したほうがいい。
まあここまでは半分は冗談だが……
いつまでも人に依存しているなよ?
強烈な意思でいざともなれば、投薬の強制力もぶっちぎれ。人生というやつは時として、馬鹿になるほど力が必要なことがある。このままでいいなどというな。いくら優しいジョゼにしても、もし大人になるまで生きていたらお前の面倒は看きれないぞ。お前の人生が短いことを知っているから、いつまでも一緒にいるなどと優しい嘘をいっているだけだ。公社にしても、お前をいつまでも生かしておくつもりはない。秘密作戦としての少女暗殺部隊は首相の意思によりいつか解散させられる。何より投薬はお前の体を蝕み続ける。今ある優しい上官も、仲間たちとの生活も、すべては幻だ。その夢はいつか醒める。夢が醒めたとき、地獄への道があるだけだ。
お前は、目に見えない鎖につながれたまま死ぬのか。それとも自由を手に入れるために、戦い抜いて自分のために生きて死ぬのか。
本当の意味合いで生きる証を立てるには、投薬も、ジョゼも、公社も乗り越えろ。
よく人形などと揶揄されているようだが、忘れるな?
何よりも、本当はお前自身、意志がある人間だ。
短い人生と決まっていたとしても、他人にいわれるままではなく自らの手で未来を作れ。
それが本当に生きているという意味ではないか?
追記
レビューに記載された言論を規制したい人は、個人の意見を以てするのではなく、あにこれの法的論拠に基づいて規約に記載する必要がある。
運営諸氏に連絡し、説得し、規制を規約に付け加えてもらうこと。