photon さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
どちらかといえばスピノザの論が好ましい
生得的だとか環境に因るところとかそんなことは関係なく、ゲージのような人間によって構成された世界があるとするならばこんな感じなのかなと思った。ケストラーは人間の構造には生得的欠陥があると説いていたけれど、実際に実験を基にしているダマシオのソマティック・マーカー仮説の方がどちらかと言えば考える余地があると思う。それでなくとも松果体に関する議論は既に終了しているのだから。
中身の無い作品ではあるけれど、以前中国人の性質について書かれてある本のことを主人公の行動から想起した――但し、中国人は主に論戦の場でこれを主に活用しているのだけれど。そしてともあれフィアネス・ゲージの世界観を娯楽として堪能することはできない。
情動研究に関する書物を読み進める毎に現実とフィクション(特にエンタテイメント)とが如何に乖離しているかということについて興味が湧いて来るのだけれど、これについて調べる為中身の無い作品に眼を通すのは作業というにふさわしい程辛い。
そういえば、明治の中頃だか大正だかにスタンダール等の小説だか論説だかを恋愛の手本とした時期があったそうだけれど、メディアという類では同じアニメにもそのような現象が起こるのだろうかと思った。安吾はそれらをばっさりと斬り捨てていたけれど。いづれにしても大なり小なりの知恵は身につけることができるかもしれないけれど、情動を養うには偏り過ぎているのだから安吾の批判も納得できる。