どらむろ さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
30分の同人アニメ。30分で泣かせてくれる素晴らしいクオリティー!
同人サークル「ElectromagneticWave」が制作した同人アニメ。
商業作品に勝るとも劣らない、素晴らしい短編アニメです。
アンドロイド少女が身近にいる「ちょびっツ」っぽい世界観で、辛い過去を持つ青年と、青年に拾われたポンコツアンドロイド少女との、ひと夏の短い出逢いを描く。
…泣けます。正直、ここまで泣ける30分枠は滅多に無いレベル。
話はベタながら、僅か30分で完璧に伝わってくる感動ストーリー。
素晴らしい30分アニメです!特に萌え絵に忌避感が無い限り、非常にオススメです!
{netabare}『物語』
設定は「ちょびっツ」みたいな、少女型アンドロイドが一般的に居る世界。
青年が壊れかけたポンコツアンドロイドの「ふらわー」(超かわいい!)を拾い、一緒に生活していく過程を、ハートフルかつ切なく描き切った。
…あえて意地悪く言うとベタ過ぎる設定かもだけど、そのベタさが気にならない位、ストーリーの完成度が高いです。
…回想や絵日記で、数秒間に濃密に伝えるべき物語を込めていく構成が抜群に巧い。
主人公・敬一郎が過去に辛い記憶を背負っている事、ふらわーが前の主人に捨てられた存在である事が、短いフラッシュバックのような最低限の回想で分かるし、また、ふらわーの付ける絵日記(彼女はポンコツで記憶力皆無なので外部メモリー代わり)で、敬一郎と一緒に過ごしたひと夏の思い出が短く、けれど1枚1枚に30分アニメ並みのエピソードがあった事がしっかり伝わってくる。
「たのしい」
「たのしい」
「たのしい」……
幼稚な絵。ふらわーの乏しい語彙、けれど万感の思いが伝わってくる…
初見では最後の場面で泣けましたが、2週目以降だと、ふらわーが絵日記で「たのしい」の所で涙腺崩壊します。
少しずつ成長して生きるたのしさを知っていく、ふらわー
過去に絶望し、時が止まってしまった敬一郎
「こわれかけのオルゴール」それは寿命が迫っている、ふらわーの事かな?
と思いつつ、予定調和(ストーリーは抜群に分かり易くつまり先は読めちゃう)で最後の時を迎えるが…
ふらわーの時は再び止まってしまったけれど、ふらわーとの日々が、再び敬一郎に生きる力を与えてくれた。
再び、切なくも優しいメロディを刻みはじめたオルゴール。
その部品には、壊れてしまったふらわーの部品が…!(ああ^~ふらわー切ないんじゃ^~)
つ、つまり「こわれかけのオルゴール」は敬一郎の方だったのかな…?
いや、きっと、お互いが「こわれかけのオルゴール」
二人が出逢えたから、動かなかった時が動き出せた。たとえ、こわれかけであっても。
…切ないけれど、生きる希望を伝えてくれたハートフルストーリーでした。
総じて
あえて意地悪く言えば、ベタ。
だが!それがどうしたッ!?
私は泣けましたよ…何度観ても涙腺崩壊する。ちょろいと言われようが構わん。
ベタではあるが…何故だか、決してあざといとは思えないのが不思議。
…僅か30分でも、ここまで感動させてくれる物語がある。
本作のような素晴らしい作品に出逢えるたび、視聴者の時もちょっぴり動き出しそうです。
(なんちゃって)
『作画』
同人作品とは思えんハイクオリティー。
ふらわーは萌え寄りの可愛さ、非常に萌える!
細かく見ると粗はあるかもですが、殆ど気になる程ではないです。
背景も細部は粗くとも、要所ではストーリーに引き込んでくれるのに貢献している。
『声優』
ふらわーはベテラン浅野真澄さんが可愛らしく好演。
敬一郎の柿原徹也さんも地味ながら、辛い記憶に苦しむ主人公をしっかり演じていた。
友人の浅沼晋太郎さんも地味ながら巧い。他に中尾衣里さんも出演。
同人アニメながら実力派揃えた声優陣も隙が無いです。
『音楽』
挿入歌「こわれかけのオルゴール」が地味ながら、ジワジワと効いてくる。
BGMは控え目な音響も、本作のストーリー邪魔する事無く盛り上げている。
『キャラ』
キャラクター面では、ふらわーの可愛さに尽きます。
ああ^~ふらわーかわいいんじゃ^~
いや、確かにベタで陳腐な萌えキャラかもですけど。
商業作品にも中々居ないレベルの愛着を感じさせてくれた、素晴らしいヒロインです。
ポンコツっぷりも、むしろ萌え的には長所ですしね♪
短い間でも「たのしい」気持ちをいっぱい知れたのは救いですかね…。
敬一郎はキャラ的には地味だけど、心の傷と、ふらわーへの優しさは語らずとも完璧に伝わった。
友人が何気に良いキャラで好感持てた。
『余談』同人アニメでも侮れない名作ある事実が嬉しい
アニメ文化の層の厚さというか、懐の深さを思い知らされました。
こういう作品に出逢えると(アニメって本当に良いモノですね!)と心から思えます。
アニメ好きで、子供の頃から良い年した大人になっても観続けてきて、良かった。{/netabare}