猿の尻尾 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「僕達」は「君」を、死んでも忘れない。
母親の死をきっかけにピアノが弾けなくなった少年、有馬公正と、彼に前に現れたヴァイオリニストの少女、宮園かをりや、かげがえのない幼馴染達。
世界がモノトーンに見えていた少年の心をカラフルに染め上げたのは「恋」だった。
この作品には思春期の様々な要素が詰まっています。
友情や恋はもちろん、悩みや葛藤まで。
青春という言葉そのものが、君嘘という作品の中で生きています。
{netabare}憧れていた、小さいころから憧れ続けた有馬公正が、すぐ近くにいることを知ったかをりが、自分の病気に悩みながら、それでも彼の側にありたいと願ったことから生まれた嘘。四月についたかをりの嘘は、公正にとってどうだったのでしょうか。{/netabare}
かをりによってあっちこっちに翻弄されたからこそ、有馬公正というピアニストは、一歩踏み出せたのだと、私は思うんです。
そしてもちろん、有馬公正によって、宮園かをりも支えられていた。
中学生という弱い二人が、お互いを支えに、前へ進んで行く。
その様を見ているだけだと言うのに、ハラハラドキドキが止まらないのは、きっとこの作品のキャラが生きているかのように、生々しく色づいているからだと思います。
画面から流れるピアノの音に耳を奪われてしまうのは、きっとその音色は紛れもなく彼らの人生の音だから。
そんなことを本気で信じてしまえる作品です。
見終えた後の余韻が少々辛いですね。
{netabare}宮園かをりは、間違いなく、私たちの心に居を構え、どっしりと住み着いていきやがりました。
有馬公正だけでなく、友人達だけでなく、視聴者全員の心に。{/netabare}
これでもかという繊細な心理描写に、圧倒的な演奏演出。
そして、苦々しくも生々しい。カラフルに咲き乱れる花のような作品。
興味のある方は是非、ご視聴をおすすめします。