ekatnij さんの感想・評価

4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

「現代の働く女性」を描く金字塔アニメ。何度見ても楽しい！というか二度は見ないとわからないし思わず見たくなる！

23話まで視聴し、最終話を前に1話から見直してみました。
（全話視聴終了前にコメントするのは初めてです）

というのも、23話がとても印象的で「SHIROBAKOおもしろい！」と素直に思えるエピソードだったため、そして登場人物と専門用語の多さで、隔週視聴のうちに知らず知らずストーリーのつながりが理解できずにここまで来てしまったためです。

というわけで最終話前の総おさらいをしたわけですが、とにかくよくできています。
群像劇のおもしろさというのは、それぞれのキャラクターが主張し合いながらもぶつかりあう相互作用にあると思うのですが、まさにそれが楽しめる作品です。群像劇と言えば第一に思い浮かぶのはデュラララやバッカーノですが、系統は違えどやはりこれも一人一人の登場人物（製作スタッフやアニメーターなどなど）のキャラがしっかりしていて、次々と起こっていく問題（主に迫りくる納品締切とトラブル）に引き込まれていきます。一方、前述の二作と大きく違っているのは、舞台がアニメ制作現場、つまり現実世界の出来事ということです。純粋にあまり知られていないアニメ制作の実態を知ることができて楽しいということの他に、視聴者が登場人物の感情をトレースしやすいという点でやはり感情移入できます（萌え系やぶっとんだSF系は時に視聴者を選んでしまいますので）。

また、他の類似した作品と大きく変わっているのは色恋沙汰が皆無、ということです。同じくP.A.worksの作品「花咲くいろは」のように、「働く女の子」をテーマに主人公の女の子たちの成長を描いていますが、こちらはまったく恋愛要素がありません。ゼロです。
かといってそれが作品を味気ないものにしているかと言えば、そうでもないのです。
それは、花咲くいろはと違い、主人公の女の子が20代前後、そしてアルバイトではなく実際に社会人として働き生計を立てているという点に理由があると思います。とくに働き始めたばかりの女性にとって、仕事は生活の中心です。もちろん20代前半に恋愛要素がないというのを不思議に思う方も多いかもしれませんが、初婚年齢が20代後半となり結婚しないことを選ぶ女性が増えている昨今、男女の別にかかわらず、仕事とは自身のアイデンティティ獲得そのものだといえます。こうして見れば、この作品が現実に寄り添った社会人女性の成長を描くアニメの金字塔とも言えるのではないでしょうか。

大仰につらつらと述べましたが、とにかくアニメ制作のスピード感や苦悩をリアルに、それでいてコミカルに、テンポよく描いている感じがとてもすばらしい名作だと思います。

よくよく考えてみると、キャラ原案が「はまち」のぽんかん⑧、アニメ制作会社が絵がきれいなP.A.works、舞台がノンフィクション（とくに「お仕事」シリーズ）、そして形態が群像劇等々、個人的には大好きな要素が盛りだくさんです。

ぜひみなさんに観てほしいです！！

追記：やはりおススメは23話（24話はまだ観てませんが。笑）。
フラストレーションが一気に解消されてすっきりしますし、苦労人のあのキャラがやっと日の目を浴びるそのシーンが感動的です。