「結城友奈は勇者である(TVアニメ動画)」

総合得点
77.9
感想・評価
1410
棚に入れた
6913
ランキング
588
★★★★☆ 3.7 (1410)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

生来必殺 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

すべての物語はパクリである

魔法使いでもソルジャーでも賢者でもない、勇者の物語。
ざっくり言えばファンタジーものであるがダークな要素も若干あり。

だからと言って本作がダークファンタジーに属するかと言えば必ずしもそうではない。
とてもメッセージ性のあるファンタジー作品であり、勇者の物語である。

勇者というものについて上手くとらえられており、このテーマを前提に考えれば
物語にも設定にも大きな破綻は見受けられないというか、よくできてると言える。
個人的には花にまつわる設定に見所ありと感じた。

まどマギ的?伝統に果敢に挑んだ物語展開も一つの見せ場なのかも。
二千年以上続いてきた伝統を打ち破るのは容易なことではないだろうが
もしかしたら伝説の勇者ならば、その期待に、あるいは応えてくれるはず?

以下は感想など
{netabare}
日常と非日常の事象をリンクさせて物語の核心にせまっていく手法は
ファンタジーとしての常套手段なのだろうが、両方をそれ相応に描いた結果
尺不足の傾向に陥ってしまった感あるのが少し残念。
闇の中で葛藤する描写が少し足りてないような印象を受けた。

散華という発想もよかったのだが、散り際の美学よりも勇者もの的メッセージ性を
重視したためか、もう一歩生かせなかったのはもったいなく思う。

そうは言っても、勇者は最終的に戦いに勝たなければ意味がなく
メッセージが通らないので、ある種のご都合主義的ハッピーエンドも
物語の必然であるのは否定できない。

オマージュ比率は高めだと感じたが、構成要素は複雑で結構巧くやってる方。
オマージュがどうとかいうよりもダーク展開を望んでいた層からの不支持率が
高いような気がした。
{/netabare}

結城友奈は賢者である!?
その日ぐらしのネタバレ完全攻略ガイド
{netabare}
この物語のメッセージ性からして勇者の物語というのは容易に理解できたが。
一番解釈が難しかったのは「大赦」というのが何を暗示しているのかということ。
結論としては、Exodus出エジプト記のモーセのエピソード=旧約聖書がモトネタのようだ。
「大赦」とは神による大いなる赦しを意味し、「燃えているが無くならない柴」という
モーセが目の当たりにした奇跡の光景によって現されるもの。
「柴」とはのエジプトで奴隷的扱いを受け神から見捨てられたような
取るに足りないどうでもいい存在であるヘブライの民を意味し。
燃えて尽きて当然の存在なのだが、神の慈愛により存在することを赦された奇跡。
その奇跡と世界から見捨てられた民を救えという神からのメッセージを「信じた」
伝説の勇者モーセは十戒を定め、受難の民を楽園、幸福の国に導いたというお話。

ちなみにモーセに真なる言葉を預けた神の名は、
パトレイバー劇場版でもお馴染みのヤハウェ(=「在りて在るもの」の意)

「大赦」とは神の言葉を「信じる」預言者モーセの血統の集団で
それをこの物語、和テイストで味付けてた世界観にアレンジした組織と推測する。

「大赦」がモーセ(の親族)だとして、「結城友奈」のモトネタは何かというと「ヨブ記」の「ヨブ」。
もっと厳密にいうならば「ゆゆゆ」という物語のモトネタが旧約聖書の「ヨブ記」ということだ。

ヨブ記とは、諸説あって解釈が難しいエピソードであるのだが、ざっくり言うと
信仰心の厚さ故にヨブに信頼を寄せる神と
人間なんて心が弱いので信仰心なんて簡単に捨て去るもんね!と主張するサタンが
じゃぁ、ヨブの信仰心は本物かどうか試してガッテン!という話。
サタンの企てにあっさり乗った神様の安易さも含め、なかなか酷い内容である。

サタンの初動攻撃を「あっさり退け」、ヨブの「信仰心は鉄板確定」となるはずが、
サタンによるセカンドインパクト炸裂!
ヨブは無実なのにサタンの悪意=暗黒波動拳により、財産を失い家族を失い
皮膚病に犯され社会的地位を失い、それでも不幸の境遇を受け入れ信じ続けたが
不幸なヨブを見舞った3人の友人たちは、お前がこんなに不幸なのは
神から見放されるような悪行やったからだとか、信仰心が無いからとか
生きる価値無しだとか、嘘つきだとか、反省しろ懺悔しろ自白せよ!
人間のクズが!とかさんざんボロクソ言われて、信仰心に偽りはないはずのに
どうしてこれ程まで精神的にも肉体的にも痛ぶられなければならないのだろうか?
もうタヒにたい・・・というまで追い詰められる話。

結末は、「信じる」ことを諦めなかったヨブが魔王サタンの暗黒波動拳を退け
神の信頼に応えたヨブには、今までの不幸帳消しの「奇跡」が起きて
かなり「ご都合主義的なハーピーエンド」。「信じる者」は救われるというオチ。

「神樹様」は「ヤハウェ」が意味する「在りて在るもの」あるいは
「在りとしたなら在るもの」を象徴している存在のようにも思える。
要するに「勇者部5箇条」が「真である」とするならば(=「信じる」ならば)
「そのように在る」のだから、「成せばたいてい何とか成る」のだ。

「ゆゆゆ」の物語の基本ラインはヨブ記であるが、まどマギやエヴァやファフナーなどの
オマージュ要素も確かに在るといえば在ると言える。
ただそれよりも強い影響を受けていると推測できるのは「ひぐらしのなく頃に」であろう。

バーテックス(vertex)とは、最高点、頂上、山頂を意味し
ラテン語では、「つむじ」や「体の最も高い点」を示す。
人間のつむじに位置し、「暗黒波動」の影響を受けた「在りて在るもの」と言えば、
「角」=サタンや悪魔に生えてるやつ。で、それは「鬼」の頭上にもあるものだ。
ちなみに「ひぐらし」は「鬼」を題材とした物語である。

「角」が何を現しているかは、出エジプト記を参照してもらうのが一番だが、
簡単に言えば、神から預かった言葉や「勇者部5箇条」や「ひぐらし」の「部活メンバーの誓い」
などが意味する内容の対極に位置するものを象徴し。
要するに属性は魔王の暗黒波動拳のオーラと同一存在。

結局のところ犬吠埼姉、東郷、乃木園子の3名は「ヨブ」の友人のように
暗黒波動に毒され勇者の道を踏み外してしまったが
「ひぐらし」でも道を踏み外した人たちの残酷な結末の因果律が同様に描かれているし。
その日ぐらしの{netabare}すべてを帳消しにするハッピーエンドも・・・{/netabare}

ある日自分が癌であると告知され。
自分を不幸にした世界と世界を創った神を逆恨みして全部壊したり
一人でも多くの人間を同じ不幸の目あわせてやろうかと暴走するのが正しいか?
励ましてくれる仲間の言葉を信じて病魔と闘うのが正しいか?
答えは至極単純なようだが、精神的に追い詰められた瀬戸際の逆境の中で
在るべき未来を勝ち取る戦いを実践できるかどうかは、ブレイブハート次第なのである。
{/netabare}

投稿 : 2015/07/11
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