ダレイオス さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
鬱アニメだが心理描写が素晴らしい。
14話から17話までの映像が手元にないのでテレビ版の13話までの感想です。
部活動に絶対に入らないといけない高校での話
このアニメのメインキャラは絶対に部活動に入らないといけないがゆえ
不本意ながらも文化研究会となる部で活動することになった
メインキャラ5人の物語、活動内容は新聞を作っているみたいだけど
序盤からみんなやる気なしで、男女が混じりあってのエロ雑談をやったりで
普通のやる気のない高校生ですね。
私は高校生のころは強制入部ではなかったです中学生のころは強制入部だったので
実際私の入っていた部のメンバーは文化系の部なこともありやる気のない人が多かったので
まあ、遊びたい盛りの高校生らしくて実に正直だと思います。
エロ雑談も女の子が男の子に逆セクハラ質問したり、個人的にはありえるパターンですね。
自分は高校ではないんですが、会社で逆セクハラ質問は結構されました。
自分は男なのでセクハラ質問を女の子にやってしまうと大問題だろうとわかるので
しませんでしたが、まあ女の子が軽く逆セクハラ質問は実体験からリアリティーはあると思います。
そんな日常的な高校生の物語から始まるのだが、いきなりファンタジーになります。
メインキャラの男の子と女の子が入れ替わるのですね。
唐突なのでどういう物語のアニメかはわからないし
入れ替わりのネタは古今東西使い古された感がありますが
このアニメの場合はキャラ同士での同意でもぶっかった時に入れ替わるなどのありふれたパターンではなく
誰と誰がいつ入れ替わるのかもわからないパターンなので新鮮味はありましたね。
入れ替わった時はコメディ気味で会話自体も面白い。
あと男の子が女の子と入れ替わった時に年頃の男の子がしそうなことをしていて
そういう所も面白かったです。
入れ替わった相手が自分の体で変なことしないかを
心配する辺りも妙に現実味があって良かったです。
本来は入れ替わりネタは一発ネタなので引っ張るケースは少ないので
引っ張ったためにネタ切れするかと思ったけど
入れ替わりネタは豊富なんで、結構考えているなと思いました。
で、なぜそういうこと(人格入れ替わり)になったのかといえば
「ふうせんかずら」という、誰にかに憑依してしか喋れない
幽霊なんだか、わからない奴の仕業だけど
なぜ、そんなことをするのかはまったく不明である。
このメインの5人はエロ雑談するくらい仲良しなのに
コイツのせいで友情が壊れかかるのでやっていることは腑に落ちません。
人の命にかかわることに関しても、もてあそんだり意味がわかりません。
計算って言うけど、そんな人の命にかかわることを計算出来るなんて神様でもない限り
不可能だと思うのですが、結果的に上手くいったケースもありましたが
やっていることはやっぱり腑に落ちない。懐疑的にしか見れません。
ただ、その理不尽な所業は試練みたいなものになっていて
序盤こそ、ただの一発ネタだった入れ替わりネタでしたが
実は登場人物達は心の悩みを抱えていることにより
入れ替わり時に自分のトラウマを知られたくないなどの心理描写に発展していて
展開は丁寧だったと思います。
唯の悩みは、いくら鍛えている女性でも男性と女性では体の作りが違うので
男性に恐怖を抱いているのもわかる。
その恐怖のことも体に反射的なものとして植えつけられていて
入れ替わった時にその気付かれたり設定を上手く生かしていた。
男性恐怖症の解消の仕方も物理的なものだったが、男には効果的なものなのは
誰でもわかるので笑えましたし、いいアドバイスだったですね。
最初はコメディだったですが段々、シリアス、鬱アニメにシフトしていきました。
中盤以降は女の子を精神的カウンセルする展開で
伊織、姫子も太一が真剣に話し合って解決するのだけど
姫子はエロギャグで解決したね。まあこのアニメらしくて良かったです。
シリアスになりかけてのギャグだけにそのギャップは良く変に暗い展開に
ならず面白いと思う。
伊織は家庭に問題を抱えていているキャラなのですが
そのせいで心の問題を抱えているキャラでした。
ただ、その気持ちは共感出来ましたね。
環境に自分の性格を合わせるとか人間だれもが持つ生きていく上での防衛本能なので
興味深いものはありました。
また、それに対処した太一の安易な対応のせいで後に傷付いたり
で一筋縄にいかないのも青春物語として見れば良かった。
解決の仕方は太一がポエマーになってて、熱く語るのですが
普通の男子高校生らしい純粋で真っ直ぐな所はカッコ良かった。
正直これ原作がライトノベルなのかと疑ってしまうほど
雰囲気もいいですし、会話も青春していて凄く良かった。
2部にあたる欲望解放編では
文字通り、人間だれしもが持つ欲が増幅されて日常生活に問題が起こります。
例えば喧嘩を止めようとして、過剰防衛したり
制御の利かなくなるものでした。
原因はまたもや「ふうせんかずら」なんですが
なんで、こんなことしようとしているのかは理由は曖昧で
善意でやっている素振りを見せたり、自分が楽しんでいると発言したり
よくわからない。
しかも、いくら善意だとしても実態は理不尽な仕打ちでした。
本来5人で言いたいこと言いやって解決するのは本来は悪くはないのですが
欲望開放の状態なんで見ていて痛々しい場面も沢山ありましたね。
出口の見えない迷路にハマッテしまった状態は辛い。
それでも、みんな困って真剣に話し合うシーンは心理描写は丁寧だし
欲望開放しているキャラやそれを止めるシーンは
ギャグや笑いがある場合があり楽しいと思えるシーンはたまにはありましたので
素直にいいなって思えましたね。
まあギャグとシリアスのバランスは素晴らしかった。
最後の辺りは欲望開放なのか本当に言いやっているのかはわからなかったが
真剣に言い合うシーンはかなり良かった。
真剣に言いやったこそ終わってみたら欲望開放により、登場人物達の友情が高まったことが
よくわかるので、理不尽ではあったが結果的には良い終わり方だったと思う。
3部にあたる最終章は時間退行編ですね。
これは時間限定で肉体と精神が若返り昔の体になってしまうものでしたが
若返った時の展開が主なテーマではなくて
再び元の高校生に戻った時に若返った時の記憶が蘇る事により
起こるトラウマものでした。またしてもシリアスですね。
1話のころの馬鹿騒ぎしていたころが懐かしいくらいの辛い展開です。
しかしながら、ここにきてもズレない原作者さんの姿勢には感服せざるえない。
このアニメはトラウマが起こることにより過去の嫌な気持ちが蘇り人間関係に変化が
起きるのをやっているんだなと、ここにきてハッキリしました。
もちろん、その過程で言い合って傷付いたりしたりもするだろうが
このアニメの登場人物も言っているが、その傷付いたことすらも
自分を構成する一部だと言い切る辺りはもはや哲学的ですらあるが
個人的にはわかる気はしますね。
自分の人生を振り返ってみて下さい。いいことだらけの人は皆無でしょう。
苦労もさぞかししたでしょう。しかしながらその苦労は無駄なことだったでしょうか・・・
そうではないでしょう。その苦しい経験があるからこそ今があるのだから
無論苦労はしないことに限るだろうがけして無駄ではないのである。
まあ伝えたい作品のテーマ性は素晴らしかったと思います。
作画は大きく映る絵は綺麗でクオリティーは高めでした。
引き絵も大半は綺麗でしたがたまに乱れるのが気になった。
後半はやや作画に違和感がある回があったので、
やっぱり最初から最後まで作画を保つのは大変なんだなと思いましたね。
背景も写真加工ぽい場面も結構あったけど
手で描いてある場面もあり、丁寧だなと思える場面も多かったです。
おおむね良好だが気になる場面も感じた作画でした。
声優さんは入れ替わりネタをやるだけあって、新人さんはいなくて
中堅所の声優さんが中心で上手かったと思います。
特に姫子役の沢城さんの演技は凄かった。
入れ替わり時、感情的な場面での切り替えが凄くて演技も凄く上手かった。
そのおかげで姫子がかなり魅力的な女の子に見えて最高でしたね。
まあ序盤こそ入れ替わりがやりたいだけの一発ネタアニメかと思いましたが
終わってみると心理描写が素晴らしく展開も丁寧だった。
シリアス&鬱アニメなのは間違いないですが
それでも丁寧に仕上げたこそ、最後にシナリオが納得の出来るものに
なったのだと思う。
ライトノベル原作には珍しく純粋に青春ドラマをやっていたり
内容は凄く良かった。
たまに入るエロネタも個人的には息抜きになり楽しかった。
「ふうせんかずら」の謎はまったく解決してないので本来なら1クールでも
中途半端な作品だと自分は物語は4に留める事が多いのですが
その丁寧なストーリーと心理描写の素晴らしさから物語は4.5ですね。