退会済のユーザー さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
思い出はいつも綺麗だけど<色々修正>
オトナ帝国の逆襲。本作はオトナ帝国との対峙をメインにオモシロオカシク、時にジンワリググット、色々な感情にさせられる作品。喜怒哀楽揃って、そのそれぞれがどれも一級品だと疑う余地なく、と、そんな感じですw
ただ、本作は感情バロメーターとして激熱な作品ですが、メッセージが結構奥深い。なんせ万博から21世紀に至るまでの時代の流れをメインに据えながら、次世代へ向かうことや、幸せなんていうことまで描いているので、
■懐かしい匂い
20世紀博という会場から本作は始まり、その懐かしい匂いにつられ、ひろしみさえ始め大人達が子供の精神にされ、オトナ帝国(イエスタデイワンスモア)の一員になってしまう。作中のセリフから言えば「現実の21世紀の放つ匂いは、俺には耐えがたい悪臭だ。俺たちが昔憧れた夢の21世紀はこんなのじゃない」と過去に焦がれたオトナ帝国と戦う流れ。
オトナ帝国通称、イエスタデイワンスモアの名前(カーペンターズの名曲)から始まり、各所で昭和が用意されていて、ウルトラマンのゴモラや旧車等々、私でも分かる位の昭和の匂いを漂わせてくる。
あくまでも昭和テイスト作で語られる範疇の想像ですが、この時代に戻りたい気持ちって分からなくもない。白黒テレビに色がついたように、目新しいモノであふれている世界。かつて浦沢直樹がこの時代の心境を、鉄腕アトムが空を飛ぶような、新幹線が未来に連れてってくれるような感覚と言っていたのを思い出した。
■ひろしの決断
作中に話を戻すと、ああだこうだあってしんのすけが、子供状態のひろしを見つけて元のひろしに戻すのですが、これがひろしの靴の匂いで洗脳を解くんですよね。ここが上手い。
しんのすけ「時代は変わっても父ちゃんは父ちゃん。足の臭さで分かるでしょ?(趣旨)」そこで、ひろしが自分の人生を走馬灯のように回想し、涙を振り切って目覚める
本作のハイライトはひろしが「懐かしくて頭がおかしくなりそうだぜ」と涙ながらに、魅力的な過去(社会に与えられた物語)を断念し、家族(自ら掴み取った現代の物語)を取り戻す所でしょう。昭和テイストで彩りがならも、しっかりと過去と決別をし、21世紀へ自らの手で掴み取った「決断」を全面に押し出した作品だと思う。
「俺の人生はつまらなくなんかない!家族のいる幸せをお前たちに分けてやりたいぐらいだぜ!! 」いつかこんな事を言えるオトナになっていたいです。
自分の中にも大切な物語があると伝えてくれる、過去現在未来へと続く作品。ED曲がラスボスこと小林幸子さんが良かった。堅苦しいレビューになってしまいましたが、本作がすんごい作品なのは疑う余地なしです。