tao_hiro さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
なんじゃそりゃー
テレビ放送で視聴しました。
私は絵本の「かぐや姫」くらいしか知らず、原作の「竹取物語」は読んでいませんので、どのくらい高畑監督の独自解釈が入っているのか分かりません。
しかし、平安時代の初期頃に成立したと言われる物語が、こんなにも深いものであることに感心しながら視聴していました。
ところが・・・
ラストが近づき、月から迎えが来た時です。
雅な服装の月の使者たちのBGMが、アフリカン・コーラスっぽいアレンジが入った軽妙なメロディだったのでびっくりしました。
でもまぁここは「斬新だな」と思った程度でした。
そして、かぐや姫の最後のセリフとそれを最後まで言わせない演出にグッときました。
『
穢れてなんかいないわ
喜びも 悲しみも
この地に生きるものは
みんな彩りに満ちている
鳥 虫 獣 草木 花
人の情けを・・・
』
これは名作だ!って思った瞬間です。
月に戻るかぐや姫が振り返ったそこにはなんと・・・
青い地球が・・・
「かぐや姫、宇宙空間にいるやんけ~」と思わず大声でツッコんでしまいました。度肝を抜かれて放心状態の中、エンドロールが流れました。エンドロールの最後も「青い地球」で締めくくられました。
高畑監督!そりゃないだろ!
それまでは「天地(あめつち)」という形而上学的な概念で世界(この地)を表現していたのに、いきなり「地球」という科学的概念をブッ込んでくるなよ!
ここまでの作品の世界観が台無しじゃないか!
高畑監督の意図は不明ですが、「地球は穢れているのか?」などといった問いかけだったのかもしれません。
思えばこの人は過去にも一度やらかしています。
「平成狸合戦ぽんぽこ」のラストシーンです。
この作品、エンターテイメント性が非常に高く、百鬼夜行や宮澤健二
などをさりげなく挿入したりして大変面白い作品でした。
音楽を担当したのが、私が20歳ぐらいから愛している「上々颱風」
というバンドだったのもポイントが高かったです。
また、自然と人間との共生という問題を取り上げメッセージ性も強いものでした。しかし、最後の最後に観客・視聴者に向けて、こんなセリフを言います。
『
テレビや何かでいうでしょ?
開発が進んでキツネやタヌキが姿を消したって。
あれやめてもらえません?
そりゃ確かにキツネやタヌキは化けて姿を消せるのもいるけど、
でも、ウサギやイタチはどうなんですか?
自分で姿を消せます?
』
思いっきり蛇足だと思います。このときもものすごい残念感にとらわれました。
高畑監督は「物語で悟らせる」というのが苦手なのでしょうか?
どうしても説明や注釈を入れないと気が済まないのでしょうか?
親切なのかもしれませんけど・・・
しかし、そのくせ、キャッチコピーの「姫の犯した罪と罰」については、
視聴者に放り投げている感があります。
古典を取り扱った割にはテンポが良く、その上で重厚な作りで、
大変面白い作品なのですが、ラストだけが納得できませんでした。