雷撃隊 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
昭和のオタク魂が炸裂
先日ハセガワからSDF-1マクロスのプラモデルが発売されたので記念に書かせていただきます。
マクロスはガンダムやヤマトを見て育った人達が作り手に回ったロボもので言わばアニオタが製作したアニメだ。スタジオぬえに加えてあのガイナックスの中核メンバーが参加している。海外発注の関係からやたらと作画レベルのバラつきが多かったTVシリーズに対してこの映画版はオタク魂が炸裂、当時としては異常なまでのクオリティーの高さを誇った。執念というか怨念というかとにかくグッジョブだ。暗闇の中から出現する空母マクロスの巨大感にまず圧倒される。この作画レベルは90年代でも充分通用する。プラスと比べても遜色無いレベルだ。
BGMの使用法も格段にレベルアップ。羽田健太郎の「運命の矢」「ドッグ・ファイター」のメドレーに合わせて颯爽と登場するVF-1バルキリーの編隊飛行は最高にカッコイイ。「聞いての通りだ、各機、迎撃フォーメーション17に移れ」「スカル、エンジェル、アポロ小隊準備良し」「スカル1よりデルタ1へ、攻撃開始だ」やはり航空ファンには嬉しいねー。
この映画のバルキリー、特定の姿を持たないマシンとしての描写が向上している。普段はファイター形態で飛行しつつ操縦桿を手前に引くとガウォーク形態となり停止するとロボットであるバトロイド形態へ。加速すると再びファイターとなり空戦へ。華麗な変形と空中戦を魅せてくれる。またターンテーブルが回転しミサイルや各種追加装備を取り付けるシーンも空母戦の世界を表現している。河森氏はじめ皆さんの飛行機や船舶に対する愛を感じる。こういうのは解ってる人達が見たいモノを作ってくれていてうれしくなる。
後半の画面を埋め尽くす敵艦隊との戦闘はあれが全部手描きだと思うと気が遠くなる。吹き飛ぶ地上の建物や水柱やらもはやキチガイの世界だ。凄すぎるよ、これ。「所詮は短い平和だったか」どころの沙汰じゃないぞ。
ドラマ的には輝、ミンメイ、美沙の三人からダラダラした優柔不断さが無くなりしっかり者になっているのが良い感じだ。ミンメイは輝にはっきりと意思表示しているし輝も周囲に振り回されてばかりじゃ無くなって主人公らしさが増している。でもあの状況でミンメイを振るのは冷たいよな。普通だったら「俺のために歌って欲しい」と言うべきだろうけど。でもクライマックスでは専用機に搭乗してラスボスにトドメを刺すので許してやろう。TV版最終決戦では途中で離脱したのとは大違いだ。後に結婚するマックスとミリアのドラマはあっさりし過ぎで物足りなかったのがやや残念。
全体的にTVの優柔不断さやモヤモヤ感が無くなっているのでフラストレーションが吹き飛んだ。この映画版をもって初代マクロスは役目を全うしたことになるだろう。
さて、マクロスというのが宇宙船の名前というのは意外と知られていない。艦載機のVFシリーズばかり知名度が高いけどれっきとした主役艦だ。正式名称はSDF-1マクロス、SUPER DIMENSION FORTLESS、つまり超時空要塞だ。マクロス7は7番艦ということになる。このマクロスという艦により和製アニメは重要な転換期を迎える。宇宙戦艦ヤマトのような第2次世界大戦のイメージから完全に脱却する。デザインモチーフは現代の原子力空母だ。平べったいシルエットに滑走路がいかにも空母然としている。バルキリーはF-14トムキャットなのは一目瞭然だ。スカル小隊のモデルはベトナム攻撃隊の「VF-84ジョリー・ロジャース」という部隊。後継機はX-29やSU-27やF-22がモデルとなり「現用機の変形」がシリーズの売りとなってゆく。VF-1の凄い点は80年代にして水平尾翼が無く2次元ノズルを取り入れている点だ。河森正治氏の先読み能力たるや凄い。
マクロスも30周年で新シリーズが動き出すらしい。お次はどんな飛行機が変形するのか楽しみだ。
なんか、艦船や飛行機ばかりの話で申し訳ない。でも好きなものは好きなんだから仕方ない。さー、マクロス艦のプラモデル作るぞー(笑)