「ひぐらしのなく頃に(TVアニメ動画)」

総合得点
88.3
感想・評価
4996
棚に入れた
22091
ランキング
119
★★★★☆ 3.9 (4996)
物語
4.2
作画
3.5
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

生来必殺 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

不朽の迷作、アニメ史に残る超問題作

ゲームシナリオをアニメ化した作品。
第一印象ではアドベンチャー的ギャルゲーをアニメで再現したものだと
高をくくっていたのだが、
よくよく調べてみればサウンドノベル形式との事実に衝撃被弾。
サウンドノベルとはAVGのように選択肢を選ぶタイプではなく、
小説のように前から後ろに読むだけ、シナリオを楽しむことに特化した作品。
ということで、なによりもシナリオ重視の人は嵌りやすいジャンルであると言えるかもしれない。

ホラーとミステリーのテイストが強め。
序盤はホラーの印象がかなり鮮明で、ミステリーの要素も相応にちりばめられている。
ミステリーについては、ある意味反則と言えるくらいに難易度は高く回答編を待たずして解けない謎多数。
しかしながら、サウンドノベルに慣れている人は臆することなく、各シーンの連鎖を普通に押さえながら
シナリオを楽しめばいいだけの話なのでついていくのは意外と楽かも。
ホラーとミステリーはシナリオの構成要素ではあるが、それがすべてではなく
本作の真の魅力は他にあると断言する。

作画とキャラに抵抗を感じる人も少なくないだろうが
しかし、そんな細けぇことは物語でひっくり返すから心配無用。
やりたい放題のぶっ飛び展開、詰め込み放題に詰め込んだ物語のボリューム感が半端なく
ここまでやってしまったら、物語が破綻してしまうのではなかろうか?という心配をよそに
本作終盤から解答編にかけての怒涛の収束捌きに唖然騒然、脱帽必然。

ここの採点システムで評価するとイマイチ点数が伸びないことについては慙愧の念に堪え兼ねるが
物語は95点という評価を献上したい。
今では別に珍しくもないゲームシナリオのアニメ化再現。
そのプロトタイプを培ったのは本作の功績によるところが大きいように思えて仕方ない。
アニメ史的重要性を考えた時、好き嫌い以前に問答用無用で見るべき作品。
本作のインパクト、他のアニメ作品に与えた影響力は計り知れないものと推測する。

そして本作で忘れてはいけないのが、ひぐらし的世界観を上手いこと表現した音楽の力。
主題歌「ひぐらしなく頃に」は不朽の名曲というべきもの。


ここは解答編につながる「天神」様の細道につき 閲覧注意!
{netabare}
本作を理解する上で必須となるのが「パラレルワールド」と言う発想。
原作の形式はAVGとは異なるサウンドノベルであるのだが、描かれている内容は
(AVG的)選択肢の積み重ねによって無限的に派生する分岐点の連鎖と
その選択と分岐の組み合わせの各ルートを辿ることにより異なった結末に至るという
AVG的並行世界の物語。
そういうパラレルワールドというものが強く意識されている。

選択肢が3つ(のうち正解が1つ)で選択する回数が10回ならば、3×3×3×・・・・・
つまり3の10乗、っていくつだ?(計算苦手だった・・・)

12345678910
aaaaaa aaaa
aaaaaa aaab
aaaaaa aaac
aaaaaa aaba
aaaaaa aabc
・・・・・・ ・・・・
・・・・・・ ・・・・
・・・・・・ ・・・・
cccccc ccca
cccccc cccb
cccccc cccc

要するに3つの選択肢abc、10回の組み合わせは59049通り(でよかったカナ?カナ??)
極論言うとそれだけ多様な並行的ルートがあり得るということであり。
(3つのくじの内当たりが1つで、10回連続で当たりを引く確率の話)
そういう多様な可能性をとことん追求しているのが本作の最大の魅力である。

AVG的世界観の選択という行為とは、とても些細な日常的なものであるのだが
本作においてはその些細な選択の組み合わせによって訪れる結末は、多様なバッドエンドの惨劇・・・
それの無限的な繰り返しである。

あくまで理屈の上でしか成立しない話なのだが、
例えば5万回以上のバッドエンドの惨劇が繰り返されるとしたら、その惨劇を味わう
当事者としてみたら、その現象は「山神か天狗」の仕業、ある種の呪いと呼ぶべきものと言える。
さらに、疑心という「闇」、あるいは雛見沢症候群という逆境があるならば
この絶望的状況を打ち破るのは至極困難であると諦めがちになるだろう。

しかしその一方で、矛盾するある種の思いが浮かび上がりもする。
絶望的バッドエンドの繰り返しから、抜け出したい、救いたいという強い思い。
うんざりするくらいに繰り返される絶望的惨劇の中で、その思いは一つとなり
一筋の光が「闇」に射し込む。

それが「山神か天狗」の呪いに仇なす、反攻の合図だ!
無限の選択肢の中から自分たちの信じる未来、真実を勝ち取るための戦いの始まりだ!
信念を持った意志は、剣よりも、銃よりも軍隊よりも強し!なのです
というわけで解答編に続く・・・
{/netabare}

投稿 : 2015/06/11
閲覧 : 512
サンキュー:

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