youkey0627 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「富野喜幸」が創った、最後の‘機動戦士’ガンダム
ガンダムには「機動戦士」という冠タイトルと、そうでない物があります。
「機動戦士」とつく作品は元々、「富野喜幸」が創造した「宇宙世紀」に連なる物だけに付けられていましたが、「ターンAガンダム」や「Gのレコンギスタ」など、富野作品で「宇宙世紀」のその後を描いた作品では「機動戦士」は付かなくなります。
逆に富野作品以外では「機動戦士ガンダムSEED」シリーズや「機動戦士ガンダムOO」、「機動戦士ガンダムAGE」などの「宇宙世紀」作品以外に「機動戦士」は付くようになります。
(まぁ他にもOVA作品はいくつもありますが、それらはあくまで富野作品の宇宙世紀に乗っかっているだけなので、ここでは論外に置いています。)
このヴィクトリーは、富野監督の最後の「‘機動戦士’ガンダム」作品であり、よく知られているようにこの後監督は壊れてしまいます。
壊れた原因はご本人もおっしゃっているように、創作者としての監督と商業作家としての監督の板挟みなのですが、それでも最後まで一応破たん無く物語を完結させたのは、素直に凄いなと思います。
全体としては{netabare}「やたらと登場人物が死ぬ」{/netabare}作品として知られているようですが、{netabare}僕はそんなに無闇に人が死んだという印象はなく、戦争なのだから人が死なない方がリアリティーがないと思っています。{/netabare}
ただ、親会社の意向による「商業化」の為にリアルロボットものを逸脱する要素が多くて、「子供向けアニメなのに{netabare}人が死に過ぎ{/netabare}」という印象が付いてしまったのではないでしょうか。
富野監督はその後長い時間をかけて回復され、「ターンA]や今の「レコンギスタ」が作れるまでにはなりましたが、残念ながらもう過去の作品のような‘楽しめる’ものは作られておらず、僕にとってはこの作品が最後の「機動戦士ガンダム」です。
ご本人が「一番嫌いな作品」とおっしゃっていますが、主役機のガンダムの作りや運用は往年のガンダムファンとして楽しく、ストーリーも(ご本人が酷評している「宮崎駿」作品のような)エスコートヒロインファンタジーとして、それなりに良かったと思います。
一つだけ残念なのは、この枠は本来「F91」のTV版になる可能性があった事で、「F91」が大好きな僕としてはそちらこそが観たかったという事ですね。