youkey0627 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
悪くも悪くも「富野 由悠季」作品
ファーストガンダムから富野作品を観てきた世代ならそれなりに許容も出来るのでしょうが、今回初めてというのであれば早々に「もう無理」と思って当然でしょう。
過去の富野作品と比べても判り辛さは飛び抜けていて、毎週観ていても理解出来ないストーリー展開です。
判り辛い原因としては、
{netabare}1.人物と勢力が多く判り辛い。前半は勢力が二か国4つでまだ良かったのですが、舞台が宇宙になってからは次々に新しい勢力が現れ、しかも団体個人関わらず協力敵対を繰り返すので、もはやどの人物がどこの所属で誰の味方かも判らない。
2.モビルスーツが判り辛い。ようは「ガンダム」なのでモビルスーツがいくつも出てくるのですが、過去の富野ガンダムと違ってデザインに勢力ごとの統一性が見られない上に、勢力自体も増える一方なので誰と誰が戦っているのか判らない。
3.主人公の目的が判り辛い。過去の富野ガンダムでは、全てが明解というわけではありませんが、それなりに主人公が「何をしたい」のかは判っていました。ファーストなら戦争の中で自分や仲間の身を守る為。Zなら汚い大人に反発する為。(ZZ未見)。F91もファーストと同じく。Vは幼馴染を救う為。ターンAなら任務を果たす為などです。ですが今回はもう終盤の今になっても、主人公やまた物語全体が「何をしたい」のか判らないです。
4.富野演出炸裂で判り辛い。富野監督はその豊かな想像力で‘現実的だが個性的な世界観’を作る人ですが、独特の演出としてそれらの説明を登場人物のセリフや一見無駄と思えるカットの中に入れてきます。ですがそこに判りやすい説明はなく見る側が汲み取る事を前提としている為に、単純にSFアニメを観たかった人にはきっととても「判らない」内容でしょう。まぁオールドファンはそれも含めて懐かしいのですが。
このように判り辛さだらけの中で、さらに娯楽としても楽しめない致命的な欠陥があります。それは戦闘シーンで、戦闘時のリアリティもカタルシスも過去作品と違いほぼ皆無です。主人公がとにかく人を殺したがらないので、敵機を壊して退ける事が多いのですが、翌週には何も無かったように戻ってきます。やたらと人が死ねばいいというわけではありませんが、これでは戦争のリアリティもエンターテインメントのカタルシスも味わえません。さらに登場人物全てにに悲壮感が無いので緊張感もなく、ダラダラとした戦闘シーンになってしまっています。
(しかもやたら都合のいい新兵器が次々に出てきます。){/netabare}
という事で、ここまで苦言ばかりの本作品ですが、こういう事が富野作品らしさと言えばそういう事なので、富野作品が好きな方だけにはお勧めします。
手の平を反すようですが、それでもオールドファンの僕は最後まで観ようとは思っています。