猫々飯店 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
作品を作る楽しさと苦しさ
才能のある人間達に囲まれた平凡な青年の苦悩や、
才能があるが故にぶち当たる壁など、物作りに焦点を当てた作品です。
絵柄が可愛らしいため一見美少女系のお話のように見えますが、
中身はとてもしっかりとしたお話になっています。
全体を通してのテーマは「物を作ること」かなと感じました。
主人公である青年は、ある日自分無しでは何もできない女の子と出会います。
青年は平凡な才能の持ち主の為、自分と同じ(あるいは自分よりも下)に見える
少女のお世話をしながら、どこか安心する気持ちがあったように思います。
しかし、彼女の本当の姿は、自分なんかいなくてもやっていける、
才能あふれた芸術家でした。
この、青年の世界が反転する瞬間の心情の変化が素晴らしく、
見ていて胸が痛かったです(笑)
それから、青年は才能あふれるメンバーと共に
「物を作ること」に向き合い、才能がある人たちとの差を強く感じながらも
「それでもやっていくしかない」と上を目指すようになります。
平凡な人が持つ、才能あふれる人への嫉妬や、
自分では駄目なんじゃないかという苦悩と落胆は主人公の青年やもう一人の先輩の青年から。
才能を持っているが故に他者との距離がうまくとれず、わかりあえない気がする孤独、周囲との温度差は
才能を持っている二人の少女を通して感じることが出来ます。
両者は、物作りという競争世界をうまく表しているなと思いました。
また、そんな才能の差を見せつけられる苦しい舞台に立ち続けながらも感じる、
このメンバーとならどんな楽しいものが出来るだろう? というわくわくした気持ち。
ライバルでもあり仲間でもあるこのメンバーでなければ、この山を乗り越えられないと言う頼もしさ。
主人公を通して感じる高揚感が、何もない場所に物を作る楽しさも上手に表現していると思いました。
物を作る職業についている人だけでなく、
チームを作って1つの物事に取り組むことのある人にお薦めしたい作品です。