ダレイオス さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
雰囲気作りに成功している
書道家である主人公の清舟が発表会の場で書道会のお偉いさんに小言を言われて
腹を立てて殴ってしまったことにより、反省される目的で父親に島暮らしを
させされる話、いくら相手が悪くても殴ってしまえば同罪であり
個人的には喧嘩両成敗だと思うので主人公は擁護出来ないし
あの殴り方じゃ暴行罪で逮捕されても文句は言えまいが
気持ちはわからくはないぐらいですね。
まあ、この手にありがちな型にハマッた書き方をしていると叩かれるのは
これはねえ、この叩かれ方は可哀想ですね。
私は書道のことはまったく知りませんが、どんなものでも賞を狙うには
まず基本がしっかりしていないと取れないのは思うので
それを否定されるのは理不尽ですね。
これが賞でもなんでもなく自由に書いていいものなら型にハマる書き方をしなくていいのにね。
と殴ったのはいけないが言われたことは可哀想な男の物語である。
物語は島の空港に降り立った所から始まります。
見始めて思うことは、作画的に島の大人の住人はリアルよりの作画ですね。
農業用のトラクターに乗った爺さんとか妙にリアルに描けてました。
喋り方もなかりなまっていて、はっきり言って何を言っているのかはわからないと
お年寄りには申し訳ないが、その辺の田舎にいそうな感じで
本当に生きていそうな感じでリアルさはある。
そういった雰囲気作りはしょっぱなから上手いです。
自分の引越し先についても、やらたフランクで空き家なのに誰か出入りしているという
適当さぶりの演出が田舎というものを表現していました。
これは流石に田舎でもアニメ的なご都合主義でしょうが
雰囲気がいいのでまあいいかなと思ってしまいました。
そして子供のなる、という女の子と出会うのだが
そんな可愛らしい子供なんで遊んだりするだけで楽しく思えて
視聴していて癒されること間違いなしですね。
この女の子、子供というだけで純粋無垢で反則的な可愛さである。
また演じている声優さんが9歳らしいので素人ぽい子供の演技をされていて
一歩間違えば素人丸出しの酷い演技になりかねないのですが
そうなってなく不思議と実にハマッテいて上手いなと聞こえる演技力は感じましたね。
意外にもオーデションをキッチリやってこの役用のトレーニングも積んだみたいです。
誰か出入りしていた清舟の家だけに新キャラの登場も早い
いつの間にか清舟の家に居ついてしまう女子中学生や金髪男など
ツッコミ所が多いドタバタコメディになっているようですね。
登場人物は全員ギャグ要員で、いたる所に笑いの要素を入れているようです。
例えば老人の会話同士は、若い人が聞いたら何言ってるのかはわかりにくいが
実は本人達もそれ程、理解していなく勘違いが起こっているなど
そういった話は素直に笑えます。
漫画家志望の女の子は顔芸ありで存在そのものがギャグですね。
勢いがあって面白いのだが、この時点で完全にギャグアニメだと思ってしまいました。
特に漫画家志望の女の子のギャグシーンの作画はかなり手の込んだものになっていて
クオリティーは高い。
そのため素直にわらっちゃってもいいかなと思える出来はありました。
イベントも今では田舎の方しかやってないかもしれませんが
私の子供のころは都市部でもやっていた
お餅まきや野良猫の世話(今では禁止みたいですね)をするなど
昔懐かしい気分になれるのでいいな
そして町の人達との交流などアットホームな感じは癒されますね。
まあいくら田舎でも実際はここまでオープンなわけはないのだが
上にも書きましたがやっぱり許しちゃうってなりますね。
海に行って馬鹿騒ぎしたり、森林でカブトムシやクワガタを採ったり
おっさんなら誰でも子供のころしたような遊びが見られるので
懐かしいなと思えるでしょう。
また子供達が、生意気なことを言っているのはわかるけど
実に愛嬌のある態度を見せるので一緒に遊びたくなりますね。
いい歳した大人である清舟が子供達と遊んでいるのを見て、そう思いました。
曲もいい感じのタイミングで流れたり、雰囲気にあった曲であったり
かなり良かったです。田舎系のアニメはやっぱりこういう所は上手いですね。
あとこの物語は書道家清舟の成長ものなのだけど
成長と言っても私が考えた限りではこの人の場合は2つありそうですね。
・お偉いさんを殴ったこと自体、心の未熟さだからその成長
・型にハマリすぎていたことによるり書道家としての個性のなさの解消
なのですが実際清舟が成長したかとなると、なんとも言えないかな
心の未熟さの成長ですが、田舎で暮らせば性格が良くなれば苦労はしないんだが・・・
子供達と過ごして童心に返れば心が成長するとは正直思えない。
ただ単に都会に疲れたことに対するリハビリでしかないような
これではまた都会生活で疲れればおそらく元に戻るでしょう。
本来必要なのは、なぜそうなったのかを考えられる冷静さなのでは
人というものは(私も含めてですが)他人に怒られると自分は悪くないと思うもので
中々反省出来るものではないのですが、そこをぐっ~とこらえて
なぜ怒られたのかをもう一度整理して考えられる心でしょう。
そうすれば自ずと答えが出るものですね。
あまり言いたくはないがこれは社会に出ないと身につかないと思う。
閉じこもって身につくのかなとは思いました。
型にハマリすぎていたことは、作品内で清舟が苦悩していましたね。
型を外しすぎると自分の作品を今まで好きだった人に文句を言われ
型にハマリすぎるとやっぱり文句を言われ、どうころんでも苦言されると
その苦悩さは痛いほど伝わってきて彼が出した答えは中々興味深いものがありました。
その答えがあの荒々しく「星」と書いた作品だったと考えれば
答えは見えてくるかな、人が変わろうとした結果なのだろうと・・・
これは哲学的なのであまり上手く言えませんが
何かキッカケは掴めたと考えていいのではないでしょうか
ただ成長したかどうかは、わからないなあ~
書道だけに私みたいな素人には理解しずらい部分がありました。
終盤はネタバレはあまりしない方がよさそうなので詳しくは書きませんが
思ったよりもまとまってた、例の書道会のお偉いさんとか放置せず
上手く扱ってくれて
清舟の過去の掘り下げ、身内の掘り下げなども
ちゃんとやってくれたので満足です。
作画については人物の作画はリアルよりの作画が奇麗だったと思います。
ギャグのシーンの作画も良いので素直に面白いと思えるだけの演出がありました。
ただ、なるの作画はわざと崩しているのか良いのか悪いのかは判断しずらかった。
その点は個人の好みになるでしょう。
風景や背景は写真加工みたいではなく、実際描いてあるシーンも多く
かなり頑張って描いてるようなのでその点は評価出来るでしょう。
作画はおおむね良好でした。
声優さんは上にも書きましたが、なる役の声優さんは凄く良かったです。
清舟役の小野さんもコミカルな演技とシリアスの演技の演じわけが上手かったし
キャラの気持ちは伝わってきました。
他の声優さんは方言が凄いので聞き取れない部分があった所以外は
問題なかったです。
田舎で暮らせば精神が成長するのが個人的にはイマイチ懐疑的で
いくら田舎でもこれはないという、ご都合主義もありましたが
内容は面白かったと思います。
独特の世界観や声優さんの演技、ギャグシーン時のクオリティーの高い演出作画など見所は多かった。
最後も上手くまとまってるのでストーリー的にもまずまず良かったと思います。