karinchaco さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
日常の謎をアニメ化した京アニのセンスに感服
小説が原作のアニメ。原作未読。
ちょっと田舎の高校を舞台にした推理物です。といっても殺人事件とかではなくいわゆる日常の謎をテーマにした作品になります。
この「日常の謎」っていうジャンルは推理小説としてはメジャーなジャンルの一つだと思うのですが、あまりドラマ化やアニメ化されないイメージがあります。特にアニメでは非日常でありえないような表現を得意としているという特性上、人死にが出ずに大がかりな仕掛けをうつのが難しいこのジャンルは敬遠されることは当然の成り行きだと思います。
そんな中この氷菓と作品は非常に面白く見応えのある作品だったと思います。キャラクターも主人公の折木奉太郎がこの作品における探偵役を務めるわけですが、ちょっと観察眼に優れ洞察力のある高校生といった感じです。ヒロインの千反田えるは旧家の豪農の娘でなんでもすぐ気になってしまう好奇心旺盛な女子高校生です。二人とも現実離れしているわけではなく、ひょっとしたらそこらへんにいそうな感じなんですが、キャラは立っているという設定が秀逸ですね。
主人公とヒロインの脇を固める摩耶香とデータベースもごくごく普通の高校生。こういった普通っぽさが日常の謎を盛り上げてくれます。
肝心の事件は3~5話にまたがるちょっと複雑かつ長めな謎と、そのインターバルに1~2話で終わる短め謎が挟まるといった構成になっています。ちまたでは「十文字事件」という学園祭の期間中を描いた部分が人気あるみたいですが私としては自主映画のエンディングを考えることになる「愚者のエンドロール」が好きです。
酔っぱらうえるがかわいいとか、自主映画の内容が下らなくて好きとかいろいろありますが、結論がしっくりきたというのが一番ですね。えるの「人のなくなるお話は好きじゃないんです」というのがえるらしいし、この作品を象徴していると思います。
原作のストックがあまりないので2期の制作は絶望的かもしれませんがOVAなら可能性はあると思います。是非とも続編を希望します。