ぱるうらら さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
これぞGONZOの本気!! 男のロマンを揺さぶったアニメ『LAST EXILE』
『LAST EXILE』は小説原作、2クール(全26話)のサイエンス・フィクションアニメです。
そしてこのアニメは、制作会社GONZOの本気を見せてくれた作品でもあります。
感想についてはこのアニメの紹介の後に述べておりますので。
このアニメは、「アナトレー」と「デュシス」の戦争を背景に、その裏の超技術組織『ギルド』の存在、そして「ヴァンシップ」と呼ばれる小型飛行艇に乗って手紙を配達する空の運び屋(ヴァンシップ乗り)が活躍していることがこの物語の大前提となっています。そんな空を舞台として繰り広げられる、友情、競争、恋愛、戦い、さらに空の真の状態についてなどは、視聴者の心を魅了する非常に良い設定だと思います。そして、視聴する年齢層についても、若い人でも、若者よりもずっと年上の方でも楽しみながら見ることが出来る内容であると思われます。
また、序盤と中盤で物語の焦点が大きく変わり、そして終盤にかけて序盤では到底考えられなかったような展開へと移っていきます。
最初は主人公のクラウスとクラウスのナビで幼馴染のラヴィが空の運び屋としてたとえ少し危険を伴うような場合でも手紙を届け先に配達したり、ヴァンシップレースへの参加など、極々平和な生活をしていたが、ある日、2つの国が交戦真っ只中な時に手紙を配達するという出来事を皮切りに彼らの運命はある一つの道、戦争というに導かれることとなりました。(この時点では、まだ戦争に巻き込まれてという描写は出てきませんでしたが、後々に戦争から逃れられない結果となっていたことが分かります) そして、主なもう一つ、戦争へと導かれることとなった原因は、アルヴィスという一人の、まだ11歳という齢の少女を『シルヴァーナ』という戦艦へと届けるという任務を引き継いだこと。アルヴィス争奪からがこの物語のもう一つの始点と考えても良いでしょう。ここから大規模なシリアス展開が始まり、緊迫感があって視聴者の目を釘付けにしたことは間違いありません。そして、ここの出来事によって話の焦点が戦争へと移り始めていきました。
最初は絶対にシルヴァーナへ加担しないとしていた主人公たちも、ウルバヌス迎撃戦、帝都攻防戦などなどで、特に主人公の心情は大きく変化しました。『空で一体何が起こっているのか』を知るために...。
まだまだ面白い展開・出来事はあるのですが、とりあえずここで物語の大まかな説明を終わりにします。
このように、最初の頃と随分と話がずれているように思われますが、前にも述べたように『交戦真っ只中な時に手紙を配達する』という出来事などなども後々にも大きく影響してゆきます。 そのあたりはとても良い構成だと思いました。
ここからは感想に入ります。
まずは、〈疑問点と悪点〉
この物語は最初と中盤~終盤にかけて話自体が大きく変わっていきましたが、前提(グランドストリームを越えること)からずれたままにしたり、伏線を回収仕切れなかったりはしなかったので、ここは評価すべき点かもしれません。しかし、このアニメは説明不足な点が結構多いように思いました。例えばEXILEの正体について。それが何であるのかは述べられていましたが、それについての背景が全くといって良いほど語られていませんでしたので、その辺りの説明にもう少し触れて欲しかったです。 また、ギルドによる『EXILE』の利用目的である、『世界を支配するため』という意図もイマイチよく掴められませんでした。EXILEの正体は元々軍事目的で作られたものではないと思われますが、ギルドはやはり軍事目的として使用しようとしたのでしょうか…。
そして、最後のシーン方のシーンである、クラウスとラヴィがグランドストリームへ挑む場面について。 あの戦いの真っ只中でグランドストリームへ挑もうとしていたのはどうも無理矢理に伏線を回収しようとしていたような気がしてなりませんでした。 グランドストリームを越えるチャンスが到来したのがまさしくあのエグザイルに接近する時であったから、2人にグランドストリームを超えさせようとしたのでしょうが、その辺りはどうもパッとしませんでした。あたかもグランドストリーム越えがおまけの様な感じがして…。 しかし、あの激しい戦闘の後や話の流れからすると、実際にアニメでやってのけた構成の方が、激しい戦闘の戦いの余韻を残したまま、最後のEXILEが落ちてくるクライマックスを表現するのにはBESTだったのかもしれません。
故に、ここは仕様がなかったということで、大目に見ることにいたしました。
ただ、やはりこのアニメの全体を通して説明が足りないのではないかと思い、物語の評価を少しだけ下げさせていただきました。
ギルドにおける『マエストロ(最高権力者)』の、デルフィーネは中盤で、これでもかっと言うくらい最高の悪役っぷりを醸し出してれたのに、最後のシーンは呆気なさ過ぎて拍子抜けしました。 死ぬ間際の最後の最後まで悪役として活躍して欲しかったです。
謎だったのはディーオのこと。決戦?シーンで、ディーオは記憶を取り戻して善人らしさが戻ったのにもかかわらず、ガンシップから落ちて空の彼方へと消えていきました。 そしてディーオ君はこの物語かフェードアウトしました。誰にもそれについて触れられることなく…。この扱いは結構酷いですw 故に、2期における彼がとっても気になっています。
もう一つ、よく分からなかったことは、最後のクライマックスシーンでEXILEに何が起こったのかということ。アレが何をしているのかとんと見当も付きませんでした。
これらの点が改善されていれば、私にとっては間違いなく最高傑作とよべる程の作品となっていたと思います。
次は〈良かった点〉です。
何と言っても、あの世界観が良かったです。 そして空で展開される緊迫感や迫力ある空中戦の再現度。このアニメが2003年製作であるということを考慮すると、間違いなく最高
レベルの作画・演出であるのではないかと思いました。
2003年でこのレベルとは...。ガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル
また、あのレトロな感じの風景も味が出ていてとっても良かったです。
あと、あの戦艦の、男性達の心を揺すぶるようなデザインが素晴らしいと思いました。これぞ男のロマンです!
そして、このお話の合間に繰り広げられる人間ドラマも悪くなかったと思います。ただ他の方々が行っているとおり、クラウスの周りの人物相関が最後までわからなかったのですが・・・。
かなり私的な感想ですが、私はアレックスがこのアニメの中では一番好きでした。最初はまるで悪役のように振舞っていましたが、実は周りのこともしっかり考えていて、その一面を他の人に悟られないためにあの人を寄せ付けないような態度を取っていたのです。(まぁ、そういう性格なのかもしれませんが…。)彼こそが最もクールな男性であると思いました。 デルフィーネ登場のシーンの彼にはちょっと驚きましたが、そんな頭に血が上った彼もまた良いものですw
OPに関しては好みが分かれているそうですが、私的にはあのOPの演出はこの『LAST EXILE』というアニメの世界観にとても合っていて、また、ちょっとした内容の紹介にもなっており、曲自体もなんとなくレトロさを感じられて良かったと思います。
総合評価すると、間違いなく名作と呼べるアニメであると私は思いました。 あにこれ内ではイマイチ知名度が低いのか、順位がかなり低いところに位置しているので、是非このアニメを皆さんにも見て欲しいと思います。男のロマンがどうのこうのとか言っていましたが、女性の方はそんなこと無視して是非視聴してみてください。
2011年秋から、主人公が1期と異なる第2期も放送中ですから、そちらに目を通していただけると私としても嬉しいかもしれません♪