猫々飯店 さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
優しく、辛い物語
優しさと、辛さを同時に感じるお話でした。
本を食べ、文学を食事とする文学少女と、書けなくなった青年の物語。
という非現実的な設定ではあるが、テーマとしていることはとても現実的な作品だと思います。
ビター&スイートが売りなだけはあり、どこか苦味を感じさせるお話でした。
想像でしかないですが、書けない、というのは大変苦痛なことだと思います。
そのきっかけとなった出来事を、文学少女、遠子が解き解していく物語。
青年を巡る女性陣の物語を通ってから、最後の核心へと行く物語展開も良いですね。
少年少女の繊細な感情というのは、大人が忘れてしまったものだと思います。
最後のほうはとにかく、辛かったです。
遠子が優しさで包んでくれますが、登場人物の心の痛みが伝わってきました。
繊細な感性が感じる大人の世界に対する感情は、ある種の鏡であるような気がします。
鈍くなってしまった私達大人側が、どれほど美しくない生き方を選べる側なのか、忘れてはならないと思いました。
しかし、この文学少女、本当に美味しそうに本の頁を食べますね。
そんなに宮沢賢治は美味しいのかなあと、ちょっと羨ましく思いました。