スーパースラッガー さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
オタク文化について深く考えている良作!
引きこもりのオタク少年が、ひょんなことから異世界にオタク文化を伝えるため(実は日本政府による文化侵略が目的!)に遣わされ、その世界(エルダント王国)のファンタジックな人々とさまざまな交流を深めながら、いろいろな事件に巻き込まれていく・・・本作『アウトブレイク・カンパニー』は、ざっくり言うとこんなお話です。
それでは、作品の魅力について書きますね^^
まず、設定が斬新かつ非常に面白いですね。
こういうお話は、今までありそうで実はなかったように思います。
オタク・ムーブメントを利用して文化侵略・・・アニメの中だから楽しくて笑っていられますが、文化侵略ということについてはなんだか「非現実」と言いきってしまうこともできないような気がして、ちょっと怖い気もしましたね。
アニメは萌え要素やギャグ要素が満載で、一見するとおバカなシーンもかなり目立ちますが、原作者さんは、サブカルチャーやそれが人々にもたらすものとは何なのか、そして文化というものの本質をよく考えてお話を作ったのだと思います。
そのあたりは、原作小説(現在も続いています)を読むとさらに詳しくわかると思いますので、アニメで興味を持たれた方は、ぜひ原作のほうにもチャレンジしてみてください。
私もアニメをきっかけに原作に入ったクチで、最新巻まで読んでいますが、まったく飽きのこない傑作だと思います。
最近、世間では「クールジャパン」とかなんとかよく言われますが、テレビの報道などを見ると、サブカルチャー文化の本質をよく理解もしないで、ただ都合よく持ち上げているだけのように感じることも少なくないので、そういうことに携わる方々にはぜひとも本作に触れることをお勧めします・・・まあ、余計なおせっかいですが(苦笑)。
次に、キャラクターがとても魅力的です。
{netabare} 主人公の加納慎一は、物語序盤ではオタクで引きこもりというマイナス面ばかりが強調されていましたが、話が進むにつれて、なんだか一本筋の通ったいい男になってきました・・・それは多分、好きなことにまっしぐらになることのできる者の輝きと強さ、そして彼が本来持っている優しさと真面目さのなせる業なのでしょうね・・・だから、女の子キャラみんなにモテるのだと思います(うらやましい限りです・・・爆)。
そして脇を固める女の子たち・・・一途に慎一を想い続ける可憐なハーフエルフのメイド・ミュセル、ロリ可愛いわがまま皇帝陛下・ペトラルカ、天真爛漫な性格で絵が上手なウェアウルフ・エルビア、バリバリの自衛隊員でありながらその正体は筋金入りの腐女子である美埜里さん・・・みんなそれぞれに個性があって、文字通り「よりどりみどり」です(ちなみに私はミュセル一択です・・・キリッ!)。
そのほか、エルダント王国の大臣・ガリウス(BLに興味あり!?)に宰相のザハール、慎一の屋敷の庭師を務めるリザードマンのブルーク、そして日本政府の高官であり何を考えているかよくわからない不気味さも持つ的場さんなどなど、濃いキャラクターが目白押しです。{/netabare}
面白いお話の第一要素は、魅力あるキャラクターがどれだけ揃っているかだというのが私の持論(!?)ですが、これだけ面白いキャラが多士済々(!?)の本作はそういう意味では最高の作品だと思います。
最後に、音楽がとても良かったです。
物語を彩る数々のBGMももちろん良かったですが、とくに優れているのはOPとEDの歌です。
OP曲は、ミュセルを演じる三森すずこさんの歌うややアップテンポなポップチューン『ユニバーページ』・・・弾むようなリズムと三森さん(この方は本当に歌が上手い!)の清涼感あふれるきれいな歌声が、各話の幕開けをさわやかに演出します。
ED曲は、ペトラルカを演じる渕上舞さんが歌う(CDの歌手名儀はキャラ名)『私の宝石箱』・・・ペトラルカの心情に沿った歌詞と、奥行きのあるメロディラインとアレンジ、そして伸びやかかつ柔らかい渕上さんのボーカルは聴き込むほどに味わいが深まります。
気に入ったアニメのCDを全部買っていたら大変なことになるので、購入する際にはよくよく考える(そして心を決めたらバーンと行く!)私ですが、この2曲についてはわりと即断で購入を決めましたね。
以上、ごく簡単に書くつもりが結構長々となってしまった『アウトブレイク・カンパニー』のレビューでした☆