ダレイオス さんの感想・評価

3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

心裡描写はかなり良い

始まりは主人公祐樹がクラスメイトのヒロイン香織に好意を抱いていて
一方的に友達になりたいとアタックを繰り返す所から始まります。
しかし香織の態度は冷たいので
なんで祐樹が好きなのかは、イマイチ
わからないですね。
しかも祐樹はしつこく付きまとうので、イケメンでなければストーカーかと思えます。
まあヒロインが開始直後ここまで暗くて大人しくて無感情なのは
あんまりないんじゃないですかね。
そのため、これは二人が付き合うまで相当年月がかかりそうだと思えましたが意外と
その予想は覆されます。

すぐに仲良くなるんですね。驚くことに
理由は香織がある理由があり友達を作ってはいけないと決めていたからなのだ
そのため、いったん心を許してしまうと仲良くなる展開は早かったです。
でも心理描写も丁寧でした。香織はある理由があり冷たくしているのだけど
やはり、申し訳がないと思う気持ちがあり、祐樹に感謝をしてしまうのです。
それを感じ取った祐樹がそれを指摘したり、慰めたりと
いい感じになるので、すぐに仲良くなっても説得力はあり
世界観もほのぼのとしているので素直に作品に溶け込むことが出来ました。

でも何かがおかしい。このアニメ１話で各場面で曜日が表示されるのですが
何のためにそのようなことをしているのかは最初はわからなかったが
金曜日になり香織が落ち込んでカレンダー見たり、昼休みになるとため息ついたり
段々暗くなっていくのです。
その心理描写はかなりいいので、なぜそんな態度をとったのかや曜日が表示されていたのか
真の理由を聞いた時に納得いきました。
ここまでの展開はかなり素晴らしかった。

その真の理由は香織には秘密があり月曜日には友達の記憶を忘れてしまう体質なため
忘れるのが嫌でわざとクラスメイトに冷たくしていたのだ。
どうでしょう、記憶失うのをテーマに扱っている作品は結構ありますが
一定期間で記憶リセット形式は、これが初かも知れませんね。
そういった点ではオリジナリティーは見られました。
とにかく月曜日の絶望感は凄いです。
いままで一週間積み重ねた結果がゼロになるのだから
主人公と視聴者が一緒になってその気持ちを分かち合える点では成功でしょう。
感情移入しやすい設定でした。

でもリセットされても祐樹の記憶がなくなるわけではないので
祐樹が香織に忘れてしまった記憶を教えてたりで、再びお互いの記憶を共有していく
過程が妙に楽しかったり、香織が祐樹のことを忘れてしまったことに対して
申し訳がないと思ったりの心理描写がかなり良いので
ストーリーに入って行きやすかった。
祐樹が忘れても思い出せるように日記を付ける様に進言したり
展開が記憶喪失ものとしてはまともなのもいいかな
ただ、日記を付けるとなると香織がちゃんと日記を見ているかどうかと
視聴者は考えてしまいがちですが
一応そういった関連のイベントが発生するのでドキドキする展開は面白かったです。

中盤から新キャラが投入されますが沢山キャラが投入されることにより
ここからは記憶が消える体質の悩みの問題から友情モノになったようですね。
将吾と沙希の関係とか将吾が気さくで面倒見のいい性格のため
おとなしくて幼い性格の沙希との
二人の掛け合いが面白かったり、そういった話にシフトしていきました。
香織の記憶を失うのも意外にも問題がなくなり、友達と普通に会話したり
月曜日でもそれ程苦労している描写が無くなってくるので
今まで苦労してたのはなんだったのかになりますがこれは心の成長なんでしょう。
みんなで楽しく過ごすアニメになりました。

みんなで海に行って、楽しく過ごしたり普通の日常を送ったり
心が和む展開になりましたね。
ただハーレム系ではないので恋愛面では奥手で
これも、恋人未満友達以上の関係を楽しむ雰囲気でした。
こういう状況なんで祐樹の独占欲の強さからくる空回りする姿は
まあ高校生らしくて好きですね。
人間はそういった欲は誰でもあるので人間ぽい所があるのは良かったです。

ただ終盤は香織の昔の知り合いの男の子が登場と原作は少年誌だそうですが女性作者さんらしく
女性向漫画によくある展開が見られ、まあいきなりシリアスでした。
ただ、かき回すのではなくて、なぜ香織がこんな記憶を無くす体質になったのかという
掘り下げ要員で一応は物語の確信部分を進めたので
上手くまとめたとは思います。
月曜日にみんな忘れてしまう体質はアニメだから納得するにしても
友達の記憶だけってのは最初は違和感はありましたが
そのおかげで、ある程度は納得はしました。
妙にモブの女の子が嫉妬深くて、そういのが駄目な人は駄目でしょうけど
私はそんなには嫌いではないです。
人間の闇の部分もちゃんと整合性が取れれば面白いと思いました。
一番良かったのは将吾と沙希の関係ですね。
ああいう誤解から来るすれ違いは高校生らしくて良かったです。
将吾の対応の仕方はカッコいいと感じて素敵な男の子に見えました。

登場人物がらみで唯一気になったのは知らない人に対しての香織の態度ですね。
香織は冷たい態度をとるのは友達になっても忘れてしまうのが辛いからみたいですが
ちょっと二重人格に見えたかな流石に素の香織の性格からしたら
もしかしたら知り合いかもしれない人に対して冷徹な態度はとらないはずだから違和感はありました。
普通なら普通に断ると思うので
そうしないとあのガーンと来る月曜日の絶望的演出が出来ないので不自然なんでしょうね。
ただ作品内の登場人物の将吾も二重人格と言ってたのでそういった不自然さを演出する目的があったのかも
と逆に考えました。一応制作者側も不自然さには気付いていたようですね。

作画は明るい感じで、最初から最後まで安定していたと思います。
背景も独特な世界観を描いていて中々良かったです。
ただあまり動きのある作画ではなかったかな作画枚数は少なめでした。

声優さんですが香織役の雨宮さんは、やや棒気味でしたが
月曜日の記憶を失った時、嬉しそうな時など、さまざまな演技の切りかえが必要な役でしたが
演技わけはきっちり出来てましたね。
祐樹役の山谷さんは演技がまじめなキャラにあってましたが若干聞き取れない
場面がありました。もう少しはっきりとした口調だったら良かったのです。
喋っている時も若干上手くないと聞こえるシーンもあったかな
ただそういうキャラとも思える性格なので下手とまでは思わなかった。
声優さんは普通でした。

無理がある設定が問題なければ、心裡描写はかなりいいので
祐樹と香織の関係は楽しめると思います。
前半は記憶を失う設定が生かされてかなり面白かったですが
中盤はみんなで楽しく過ごすアニメになりましたね。
後半はシリアスでしたが酷くはならず思ったより無難な内容で
思ったよりドロドロしていなく、楽しむことは出来ましたね。
トータルでも良かったと思える出来はあると思います。
一発ネタだけに続きはネタ切れになりそうなんで１クールで終わって丁度いいくらいですね。