OZ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
かけがえのないひと夏のキセキ
キャラクターデザインが好みなので
再放送をきっかけに観てみる事にした
■かけがえのないひと夏のキセキ■
静岡県 下田市を舞台に
アイドルを夢見る仲良し女子中学生4人組が
非日常的体験を通じて
絆を深めていくひと夏の物語『夏色キセキ』
パッと見は女の子達による
よくある学園日常系かと思いきや
第1話から空を飛んでみせたりと
現実離れした予想外の幕開けでスタート。
斜め上いくぶっ飛んだ展開は
少々困惑気味に「何だコレ?」と
早くも視聴者が絞られそうなノリである。
願い事を叶えてくれる御石様と呼ばれた
岩の様な大きな石が起こす奇跡
「空を飛ぶ」「身体が入れ替わる」「同じ人物が二人に分裂する」等
不思議な現象を中心とした
ドタバタコメディの序盤から
中盤以降は離れ行く友への友情を軸に
テンポ良く構成されている。
中でも夏海が二人に分裂する
第6話「夏海のダブルス」は完成度が高く
もっとも評価したいエピソードだ。
分裂ネタでは鉄板のコメディネタを広げつつ
"自分自身がもう一人の自分を見ると どこが欠けているのか?"
起きた現象を投げっぱなしにしておらず
魅せたい部分がちゃんと描かれていたのは好印象。
主に評価したい点は
メインキャラクター4人共が立っていた事である。
キャラクター主体の作品なので
当たり前と言えば当たり前であるけれど
その"当たり前"がしっかり練られてあると
個性に加えて厚みが増してくるもの。
夏海も紗季も優香も凛子も
長所短所が過去の回想と上手く絡まり
丁寧に描写されている為
回を追う毎に成長を感じられるのだ。
大人になればなる程
積み重ねた記憶は彼方へと霞んでいく。
彼女達の過ごしたかけがえのないひと夏の思い出こそが
まさにキセキと呼べるものなのかもしれない。
■色々と惜しい!■
上では評価したい点を挙げたが
ここからは反対に惜しい!と感じた点を2つ。
まず一つ目は「作画」
背景は凝っているものの
キャラクターについては前半から良いと言えず
後半へ進むつれて徐々に粗さが目立つ。
崩れる程まではいかないけれど
成長過程や心情が巧妙に描かれているのに対し
可愛さの面はおざなりとなってしまっている。
一定のクオリティが保たれていたなら
もっと可愛さを感じられただろう。
全体を通して作画の安定感が欠けていたのは勿体無い。
二つ目は「御石様の存在」
主人公達が願いを想う事で
奇跡を叶えてくれる
今作品のキーワード的存在である。
しかし 引っ掛かるのは
"下田に祀られている御石様"に限らず
奇跡が起こせてしまう事。
第9話に出てくる八丈島の旅館浴場にあった石や
第11話で出てきた東京の神社にある石でも同様の奇跡が起き
最後まで明かされる事なく「御石様の親戚」と
何とも曖昧なまま片付けられる。
こうなってしまうと
奇跡の特別感が半減してしまい
下田で生まれ育った彼女達であろうが誰であろうが
奇跡を起こす者自体は関係無くなり
単に"御石様が特別"と
キセキの意味合いが異なってしまうのだ。
幼少の頃から下田で過ごした彼女達だからこそ
起こし得た奇跡だと観ていたので
一体 御石様とは何なのか?
何かしらの形でも示してもらいたかったものである。
面白くなる可能性が
随所に感じられるだけに
以上の2点が非常に惜しい印象であった。
■あとがき■
中盤までは微妙だったけれど
紗季の転校が現実味を帯びてくる終盤辺りから
続きが気になる全12話でした。
特に最終回のラストシーンは
さっぱりとして
気持ちの良い締め方だったよ。
夏海 紗季 優香 凛子の4人が
御石様を囲んで手を繋ぎ
「いつまでもずっと 4人が友達でいられますように!」と
最後の願いを口にする場面は
何時までも同じ環境のままいられる事はなく
少女達が大人への第一歩を踏み始めた様で
刹那的な純粋さを含む台詞には
懐かしくも羨ましくて
思わずグッときてしまったね。
ところで 戸松 遥さん演じる花木 優香は
スカートめくりをしたりバットを持っていたら
とある学園都市に登場する
某キャラクターと似ていたのが印象的(笑)
荒削りながら題材に沿っていて
完成はされていましたが
まだまだ良くなる可能性を秘めた
佳作と言ったところに落ち着く作品でした。
満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6)