けみかけ さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
【フレンチジョーク満載?サザエさんハワイへ行く的な稀代の傑作の誕生です!】
原作者トーベ・ヤンソンの母国フィンランドとフランスの共同制作による劇場版
ポーランド版のパペットアニメーションを除けば日本以外でムーミンの映画が作られるのは初めて・・・たぶんw
どうもフィンランドでも原作ベースのテレビアニメがあったらしいのですが日本に入ってきてないのでよく知らん(爆
コミックをアニメ化するノウハウはフィンランドよりもフランスの方が持ってるとのことで今回は原作者遺族サイドから「原作ベースの映画を」とのオファーを受けて企画が動き出したらしいです
原作者も公認のネ申クオリティを誇った『第3期(楽しいムーミン一家)』とはまた別の意味でクオリティが高いです
まず冒頭からスナフキンが吹くハーモニカの音色に合わせてお馴染みムーミン谷が描かれます
凄まじい描き込み量を誇った『3期』とは違い、アースカラーで統一されたバックグラウンドに河川だけ、とか、建物だけ、とか、極力シンプルに描かれつつも影の部分が細かいハッチングだったりと原作の絵柄を忠実に再現せんとする姿勢があります
わらわらと動き回るムーミン谷の住人や生き物達の細かい動き、その作画
いやぁ~素晴らしいの一言!
てか日本のアニメタや演出家ならまず避けて通るレイアウト・・・やはり海の向こうは考え方が違う;(ゴクリ
そこからムーミン谷にミイとミムラが仲間に加わるところが描かれます
こんな風に「出会い」が描写されるのは長い歴史の中でも初めて?
そしてとっても素晴らしいことにこの映画の吹き替え版、なんと『ネ申3期』のキャストをそのまんま揃えてきてるんです
だから
ムーミン=高山みなみ
フローレン=かないみか
パパ=大塚明夫
ママ=谷育子
ミイ=佐久間レイ
スナフキン=子安武人
なんですよ!うわぁっ、これだけでもう十二分にアツい!
ちなみにスニフはチラっと出てきただけで喋ってくれませんでした(´・ω・`)ショボーン
やがて“うぬぼれが強くミーハーなことでお馴染み”のフローレンが大セレブのオードリー・グラマーなるどっかで聞いたような名前の映画スターがバカンスを過ごしているという「リヴィエラ」なるリゾート地へと行きたいとか駄々をコネ始めやがります(笑)
パパやムーミンも冒険家の血が疼いてしまったのか;これにアッサリ同意してしまう
ムーミン一家+フローレン+シャドー(とかいうネズミぽーいナニか)+そして飛び入りのミイは小船で海を渡り、リヴィエラ・・・つまり牧歌的なムーミン谷とは真反対の現代的、文明的な地を目指すのでした
ムーミンという作品、というかムーミン谷特有の暗くてファンタジックな世界の対比として用意される、明るい都会のリヴィエラ、これがまた実にブラックユーモアたっぷりに描かれます
本編の内容は一言で言えば一瞬の瞬きも許されられぬ【抱腹絶倒】
ただでさえ濃ゅいムーミン達のキャラクター性が、都会に出てきた田舎者の奮闘記としてかなりおもしろおかしく描写され、この辺は「サザエさんが海外旅行する話」とかそーゆー名作の変化球エピソードと同じものを感じます
この話自体は原作にも存在するらしいんですが、北欧の人だけが作ったらこんな風にはならんでしょうw
フレンチジョークの要素がふんだんに含まれた結果と観れます
良い意味でムーミンの暗~いイメージをブチ壊したのではないでしょうか!?
非常に、非常ーに、非常~~~に残念なのがチョロっと出て来る今作オリジナルゲストキャラクターの配役に木村カエラを当てたことですか・・・
とっっっっても下手なのですよwこれがw
いらんべさwこいつwセリフwっていう役なんですけど、結構最後まで絡んでくるキャラなのでまあ全てが台無し;
同じくゲスト参加した「さまぁ~ず」の三村と大竹がシンジラレナイぐらい上手いし、3期キャストも揃ってることで逆にカエラが浮く浮く!完全に宙に浮いてる!
それさえなければ・・・と悔しがるも“全く新しい解釈のムーミン”の誕生にオイラの心はスタンディングオベーションですよ、起立拍手