yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
さつきさんはオーナー店長なのか?雇われ店長なのか?前者だとすると凄い30歳だ!
EDがお気に入り。
初めて観たときは、あまりの「碓氷拓海」全開ぶりに面食らった。
OPは全話通じて変わらなかったのに、
EDは16話から新曲に変更。
変更後も「碓氷拓海」全開で思わずニンマリ。
3バカの存在とか
幸村君ネタとか
メイド喫茶とか
コスプレとか
ネットアイドル(♂)とか
この作品を語るうえで外せない要素である。
が、あえてこれらをすべて取っ払って、
鮎沢美咲と碓氷拓海について、
と言うよりも、
碓氷拓海について語ってみたい。
{netabare}碓氷拓海はなぜ鮎沢美咲に惚れたんだろう?
なんて野暮なことを言うつもりはない。
好きになるのに理由なんていらない、
理由なんて100でも挙げることができる。
後付けでいいなら。
それでも、一言だけは触れておこう。
成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗、
それにカリスマ性まで併せ持つ高スペック人間。
料理、テーブルマナー、楽器演奏と
習得しているスキルの質・量ともに常人の域を超えている。
そんな人間ゆえに、
そんな人間だからこそ、
頑張っている美咲が、
必死に努力して走り続けている美咲が、
眩しかったのではないか。
碓氷拓海は鮎沢美咲に惚れていた。
ぞっこんと言ってもいいほどに。
なのに一歩を踏み出さない。
美咲の恋愛面での幼さに歩調を合わせていた?
まだ固い蕾の彼女の恋心の成長を待っていた?
彼女の恋心が花開くのを慈しみ見守っていた?
いったい何様だ!
なぜそんなに上から目線なのか?
何をそんなに老成しているのか?
・・・本当にそうか?
時に垣間見せる動揺。
無防備な美咲の振舞に、
無思慮な美咲の発言に、
心を揺さぶられ隠していた本心が、
美咲を想う狂おしいほどの熱情が、
澄み渡った水面を切り裂くように浮上する。
そんなにまで熱い想いを、切なる想いを、
なぜ吐き出さないのか?
ライバルの出現で様相は一変する。
完全無欠の鬼生徒会長として
校内の男子から女として見られていなかった美咲。
それ故、ライバルが存在せず、
安心してあいまいな関係に甘んじることができた。
それが一変したのだ。
彼は堪え切れなくなった。
誰かのものになってしまうかもしれないという不安に。
だから、一歩を踏み出した。
踏み出してしまえば簡単だった。
彼女の心は既に彼のものだった。
めでたし、めでたし。
彼は「踏み出さなかった」のではなく、
「踏み出せなかった」のではないか?
彼は自信が持てなかったのではないか?
純粋に告白することが恐かったのではないか?
本編では何も語られることはなく、
僅かにEDでのみうかがえる碓氷拓海の過去。
そこから読み取れるものは・・・?
新たな関係へと一歩を踏み出した二人。
だが、それは、全てが光り輝く未来というわけにはいかないかもしれない。
おそらく、向き合わなければならないであろう、
碓氷拓海の心の闇。
友人もおらず、無機質な高層マンションで一人暮らしをする、
そんな10代の少年が抱える心の闇。
いつか、彼は、吐露するだろう。
自分自身の黒いグチャグチャした醜い部分を。
自分自身でも認めたくない汚らわしい部分を。
それでも、
受け止めてくれるだろう。
受け入れてくれるだろう。
彼女なら、
鮎川美咲なら、
彼の選んだ美咲ちゃんなら。{/netabare}