スーパースラッガー さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
カタルシス(精神の浄化作用)ってこういうことなんだな
『こばと。』・・・そのタイトルを思い浮かべただけで胸がじんわりとあたたかくなります。
NHK-Eテレで何度も再放送されたというのは、本作がいかに多くの方々に愛され、感動を与えてきたかということを物語っています。
私が再放送で『こばと。』に出会った時期というのは、私にとってまさに人生最悪の時期でした(まあ、今も大したことないですけどね・・・笑)。
個人的に落ち込むことが重なり、かなり心がささくれ立っていて、もっとはっきり言えばどうしようもなく荒れていましたね。
そんな時、本作に出会えたというのは「天の配剤」と言うにしても、あまりにも出来過ぎていたようにも思えます。
毎週の放送を観るたびに、人を信じる心や純粋に人に接することの大切さが、すんなりと心の中にしみてきました。
決して説教くさくなることがない、ふんわりとした優しいストーリーが、私のかたくなな心を解き放ってくれました・・・これがいわゆるカタルシス(精神の浄化作用)というものなのか、と私はその時感じました。
「たかがアニメ一本」と言ってしまえばそれまでですが、本作のおかげで、当時の私がどれだけ救われたかというと、それは言葉では語りつくせないほどです・・・本当にありがたい作品ですね^^
{netabare}主人公のこばとをはじめ、本作の登場人物には悪人がいません・・・これもこの作品の大きなポイントです。
もちろんこばとの純粋さは登場人物中で群を抜いていますが、一方で何かとクセがあったり、一見悪人のような言動をする人物たちも、実は純粋で優しい心を持っています。
ぶっきらぼうな言動が目立つ藤本清和くん、口の悪さには定評がある(?)いおりょぎさん、インテリヤクザ然とした雰囲気の沖浦和斗氏(清花先生の旦那さん)・・・彼らも物語が終わってみれば、みんなみんな、とってもステキな人たちでした。
最終回まで観終わったときの、涙が止まらなかった感動は、彼らの力によるところも大きかったと思います{/netabare}
実際の世の中は、『こばと。』の世界のようには温かくないと思います。
だから、「こんなに良すぎる話は、現実味がない」と言う人もいます。
でも、「本当はこうあってほしい」と思う世界を物語として描くこともやはり必要だと私は思います。
たとえそれが架空のお話であっても、それに触れて救われたり、生きる力を取り戻したりする人が一人でもいれば、そういった物語の存在意義はあるのではないでしょうか。
『こばと。』のような、観る人を優しく包み込んでくれるようなアニメが、いつの世にもあればいいな、と心から思います。
追記:『こばと。』は音楽も最高です。私はサントラ盤を2枚とも入手しましたが、こばと役の花澤香菜さんの歌声や、劇中を彩ったBGM、坂本真綾さんの歌うOP曲と中島愛さんの歌うED曲、すべてが素晴らしい楽曲ですね。