しゅんこう さんの感想・評価

3.6
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

罪深く愛してよ

東京の大学に入学した主人公の恋愛を描いた作品。

高校生ではない恋愛をテーマにした
珍しい形の三角関係を描いています。

多くのラブコメ、男女の恋愛関係を描いた作品は高校生などミドルティーンがアニメ作品の中心でした。新しいジャンルに挑戦したという点では評価されるべきアニメだと思います。中身については複雑です。

２クールでボリュームもあるので
それなりに気合を入れてご視聴ください。


{netabare}
・物語の内容とおもしろさ
この作品の大きな魅力はテーマにもなっている高校生ではないハイティーンの恋愛模様が描かれていることですが、かなり特別な環境、キャラ設定となっています。不条理や不合理、説明不足が気になる人は完走も難しそうです。

視聴すればすぐわかりますが、ヒロインの性格はまあよくあるタイプとしても、主人公にはちょっと特殊な設定があることがわかります。（おまけの存在もセットで。これはホントに視聴してください）
その設定のおかげで今までにない人間関係の描き方になっています。
性格も内向的で神経質、なぜこの彼がモテル？と思う方もいると思います。
（くそう・・・なら俺だって、俺だって！と私の心の叫びをここで言ってみたり・・・）特殊な設定ゆえにこれも万人受けしない１つの要素になりそう。

でもその不条理な設定にイライラしても仕方ない、と目をつむってみると
なかなか見ごたえのある恋愛が描かれていると思いました。
幼馴染と現在のヒロインとの三角関係では、片思いの切なさを感じたり、恋人になっても不安になる気持ちは見ていてわかりやすく、共感できる部分もありました。

・さらに特筆することろ
個性的で印象に残りやすいキャラがたくさん出てくるのもこの作品の魅力でしょう。主人公の隣人たちは面白くて素敵なキャラばかりです。隣のＮＡＮＡ先輩は世話好きで口は悪いけど何かと力になってくれます。二次元君はいつも友達思いで縁の下からみんなを支えてくれています。もはや敬意を払うべきレベルです。主人公は恵まれ過ぎな気もしますが、この他にも本当に素敵な先輩、同級生たちがたくさんいます。

特にヒロインのキャラは喜怒哀楽や暴走ぶりが面白く、明るい部分と暗い部分のギャップを見事に使い分けて魅力的に仕上がっていると思います。
（同性からは嫌われそうですが深く付き合って人柄の良さを理解できると仲良くなれるタイプかなと思います）

ただ、人間関係のドラマは特殊な設定の上に成り立っている部分が非常に多いので評価していいものかどうか悩むところです。見る人を選ぶ理由です。こうでもしないと大学生の恋愛なんて面白くもなんともない、ということなのでしょうか。
あえて深読みすると
{netabare}
不可能に近いハードルを乗り越えさせることで、主人公とヒロインの結びつきの深さをより伝えたいがためのしかけなのかなとも思いました。そうなると個人的には幼馴染の気持ちももうちょっと考えてあげて欲しかったのですが・・・主人公の性格同様、それをいっちゃあおしまいなんでしょうね。{/netabare}

・ＯＰとＥＤが凄いです
１クール目１２話までこの主人公の過去やヒロインたちとの結びつきが中心に描かれています。特に１期のＥＤの曲が作品の雰囲気に絶妙に合っていてしびれました。アニメーションもよく心情を表していると思います。

{netabare} 私はアニメのＯＰ・ＥＤの曲はラーメンのつけ合わせみたいなもので、無いよりあればより豪華になるよね、人によって好みもある、くらいにしか考えていませんでしたが、このアニメのＯＰ・ＥＤ曲はこの作品にとって重要ないわばスープに近いものかもしれません。本編では表しきれないヒロインの気持ちを補完する様に描かれていて、すごく効果的だなと感じました。～ {/netabare}

ＯＰ・ＥＤが視聴のモチベーションになるのはこれが初めてです。楽曲を作っている人はかなりの手だれの方なんでしょうか。今度調べてみようと思います。詳しい人いたら教えて欲しいですね。

後半からはそれまでのシリアスな流れを思い切って変えて明るい感じのラブコメパターンが多くなってます。急にテンポが変わったのでシリアスなドロドロ路線を期待していた人は心を折られてしまいそうです。

物語やキャラの統一性や完成度を気にする人は不条理や不合理、説明不足が気になってしまうでしょうが、ヒロインキャラは生き生きしてとても魅力的に見えるので、気になる方は試しに見てみるのもいいと思います。

真っ直ぐに相手を思い気持ちをぶつけるシーンは、
すごく　ううっ　とさせてくれるアニメです。
（ううっ＝うっとりしたり、恥ずかしがったり、むっとしたり、笑ったりその時の見る人の気持ちが何かしら出てくるものと思ってください）

あんな風に気持ちをお互い伝えたいものです。誰かを自分のものにしたい、けどそれはなかなかに高いハードルだけど、想う気持ちは決して悪いものではないですよね。

～ {/netabare}