STONE さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
本筋をちゃんとしないと
序盤における世界観などは悪くなかった。
ガリレオ・ガリレイの子孫であるフェラーリ三姉妹がおりなす冒険アクションといった
雰囲気で、星月・フェラーリの作ったガリレオ号が金魚型だったりと、全体的にメカが
ユーモラスな感じで独特の個性がある。
絵のタッチやキャラクターデザインも個人的には好みと、色々な意味でワクワクしていたの
だが、話が進んでもどうも盛り上がれない。
まずキャラクターにあまり魅力を感じられなかった。
主役の星月は良かった。単に小さくて可愛いだけじゃなく、持っているスキルやいざという
時の行動力など、なかなか魅力的。
しかし、長女の葉月、次女の神月はウーンといった感じで、空回りしている葉月、足を
引っ張る神月といった印象。
OP映像なんかを観ると文系の葉月、理系の星月、体育系の神月とそれぞれが得意分野を
活かして活躍するものと思っていたのだが・・・。
この三姉妹に対峙するロベルト・マテラッツィは、悲しい過去を描くなど単なる悪党では
ないといった描写があったが、現在のロベルトの描写が希薄で深みのあるキャラには至って
いない感じ。
特に養父であるフランチェスコに対する心情が描かれなかったため、最後に自身が父を銃殺
する展開が今一つピンと来なかった。
結局、悪役なりの大物感を備えているようには見えず、かといって単なる小悪党でもなく、
非常に中途半端な印象。
他にもアンナ・ヘンドリックスのロベルトへの愛と、フェラーリ三姉妹への親愛との板挟みに
なる葛藤も今一つ描写不足といった感じ。
各話の構成も単話で観る分にはそれほど悪くないのだが、全体を一つの流れで観るとブツ切れ
感が強い。
特に5話の少年少女の死は「なんだかなあ」という感じ。
作品におけるキャラの死自体には、個人的にはそれほど嫌悪感はないが、それなりに意味の
あるものにしてほしいなと思う。
例えば仇討ちをするとか、死んだ者の意志を引き継ぐなどの、生き残った者の行動に影響を
与えたり、その死によって生き残った者の心情に大きな変化を与えたりなど。
しかし、ここではそういったものが感じられず、突然現れていきなり死んじゃったという
感じ。あえて意味を見出すなら、アドニムーンの残酷さを一層印象付けるためだったのかなあ。
他にも4話の星月の怪我と6話の葉月の病気など、対象とその後の展開は異なるが、全11話で
似たようなモチーフを扱われると、ちょっと安直に思えてしまう。
終盤において星月がタイムスリップをしてガリレオ・ガリレイと出会う。
この辺の展開自体はいささか強引だが、ここの部分は時空を越えたラヴロマンスといった
感じで、叙情的な味わいがあって、なかなか良かった。
また、このタイムスリップによって、これまでの伏線が次々回収される様は、パズルの
ピースが一つ一つ埋まっていくような気持ち良さがあった。
最後はそれなりにきれいに終わったが、全体的には今一つパッとしなかった印象で、
個人的にはそう感じてしまった要因はトレジャーハントの部分が安易だったことかなと思う。
やはり本筋をおざなりにしちゃうとねえ・・・。もうちょっと謎解きや宝探し的冒険が
あっても良かったのでは?。