しゅんこう さんの感想・評価

4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

よくぞこのレジまでたどり着いたな、お客様よ！

勇者になれなかった主人公がしぶしぶ決めた就職先は
街のマジックアイテム小売店。

そこには同じく魔王になれなかった娘が履歴書をもってやってきます。
自分の夢が打ち砕かれ、流されるように仕事をしていた主人公が
失敗しながらもひたむきに働く魔王の娘の姿を見て大事なものに気付いていく小規模店舗型コメディ。

{netabare}
①物語の内容とおもしろいところ。

肌色シーンが多めなので一見ただのお色気コメディなのかと
最初に思うのは無理ありませんが、実は現代の就職事情や企業と小売店の関係、生産者と消費者の関係など社会経済的な視点からも楽しめるお得なアニメなのです。（え？別にお得でない？うそでしょ？）

冗談はさておき
当時の放送状況では、凪のあすから、のんのんびより、境界の彼方、東京レイブンズ、ストライクザブラッド、キルラキルなどかなり有名な作品が多く、どうしても埋もれてしまった感があり、他の時期ならもっと評価されていたアニメなんじゃないかと思ったのでした。

アニメに消費経済要素を取り入れて話題になった「まおゆう」がすでに放送されてさらに影が薄くなりがちな本作品ですが、あちらは講義形式で学んでいく啓蒙学的スタイル、簡単に言うとお勉強スタイル。やさしくて胸の大きい家庭教師的なお姉さんとラブラブしながら学習する姿は本当にｳﾍﾍ・・・

おっと、話がずれてしまいましたね。
「まおゆう」との大きな違いは、本作品の主人公は実際に職場で働きながら体験的に学び、成長していくところです。接客業をされた人ならおなじみの
「いらっしゃいませ」「少々お待ちください」「申し訳ございません」
「ありがとうございました」などのセリフもよく聞こえてきます。

魔王の娘の教育係として日々苦労しながらも、やりがいを感じる姿に好感が持てました。（実際、こんなかわいい子がたくさんいて楽しそうな職場なんてあるわけがない？え？そんなばかな。）

②さらに特筆すべきことは
物語の構成、話の進み方がとてもシンプルでよく出来ています。
面接→就職→研修→ライバル店出現→調査・偵察→対抗・対策とお仕事面からの
流れがわかりやすく、かつその中に
昔の友人・同僚とのかかわり、職場の人間関係などの話題を上手に取り入れています。初めて見る人にもわかりやすいです。

また、大型店舗と小売店の違いや、工場で生産される商品のラインの様子を描いている場面もあり、人件費と商品のコストや値段についてとてもわかりやすく紹介されています。
（本当にわかりやすく・・・これについては実際に視聴してください。たぶん悲しくなるはずです。え？ならない？うそでしょ？）

この物語の一番のよさはひたむきにお客様にやさしい接客をしようとする
主人公たちの姿です。

コメディパートの大半はＲＰＧネタのボケが中心でゲームをしない人にはなじみが薄いかもしれないですが、気になったらドラクエやってみてください。

作画も戦闘パートは良くできています。さすがです。当時のバトルアニメと比べても遜色はないと思います。キャラの絵もアクリル画のようなきらびやかで透明感のある描き方は独特ですが、かわいい女の子の魅力が良く出ていて個人的には気に入ってます。ＯＰ・ＥＤのアニメや曲も素敵です。

こういう店員さんがいたら買いに行きたいなーとほんとに思います。
（前かがみでとかそんなことは思ってないですよ。え？すいません。思ってました。）

いろいろと恵まれなかった放送時の環境ですが
今ならじっくり見ることが出来るのでぜひ。
（え？もう見た？嘘でしょ？）

{/netabare}