やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
宇宙は狭くて孤独な場所だった~作品★
■評価
テーマ性 :★★★ 3.0
エンタメ度 :★★★★☆ 4.5
シリアス度 :★★★★ 4.0
SF演出巧み度 :★★★★☆ 4.5
おススメ度 :★★★★ 4.0
■ストーリー
人類は異生物である寄居子の襲撃により、生存場所を奪われ
宇宙船『シドニア』にて宇宙を放浪する事となる。そんな中、
シドニアで地底人としてひっそり暮らしていた長道だが、シドニアの
衛人に搭乗し、100年ぶりに姿を現した寄居子との激しい戦闘に
巻き込まれる事になる。寄居子とは何なのか?人類に未来はあるのか?
■感想
{netabare}
最初に書いておきますが、私はこういうSF作品は大好きで
評価以上に個人的には楽しめています。
結論から言ってしまうと、とにかく雰囲気の良い作品。
3DCGと本格SFを謳って登場した本作ですが、小惑星を母体にした宇宙船やら
人間光合成やら、傷だらけの衛人や宇宙服、尿管カテーテルなど何かと
宇宙を意識できる要素がふんだんに使用されていて、SF世界観の雰囲気が
良く描けていると思う。
そして本作の特徴ともいえる要素として、何事にも制限をつける事で
スピード感や孤独感を作りだして迫力ある臨場感の演出に繋げていると
思う。特に戦闘中にかならず2時間以内とか3分以内とか時間的な制限が
設けられる演出が多い。これが作品のスピード感を上げていると思うの
だけど、5,4,3,2,1・・・なんてカウントダウンされてるのだから
『みなさ~ん!!お急ぎなはれ~』とか『紅雀キタァァァ』とか
かなりむきになって視聴する事受けあいかと思う。
それに『コックピットから出れない』とか『ガウナの体内』とか
登場人物達の行動範囲も制限させる事で、孤独感・疎外感やら閉塞感の
演出もできている。こんなにも自らを緊縛プレイしてくれるお陰で、宇宙は
こんなに広大なのに狭くて孤独を感じさせる場所に思わせてくれる。
そんな中でも仲間と手をとり4~20機掌握で編隊飛行するシーンは、
安心感や温もりを感じさせる名シーンだったと思う。
ただ肝心のストーリーですが、主軸のストーリーは流れもあって
面白いのだけど、物語に起伏が少ない事や強いテーマ性やメッセージ性を
感じない。勝手な考察で恐縮ですが、のりお君の行為や長道の生い立ちや
艦長の思惑などをみると本作のテーマは『人類の禁断の扉を開ける』
という事じゃないか?と勝手に妄想しています。
だから現実世界で暗黙されている禁断の罪(同性愛、敵の拷問、仲間を
見捨てる等)を断罪したり、許容の必要性を説いたりする様な
サイドストーリーがあれば更に起伏がうまれて面白かったのではないかと
思う。最終話での長道君がのりお君を許すに至った心理をもっと感慨深く
描けたと思うのでもったいない気がしています。
ただSFの魅力は科学的な考察や仮想的なメカのリアル描写などが
私にとって一番の魅力だけど、ちょっと普段とは違う価値観に触れ
夢を見せてくれる点も大いに魅力だとおもう。
本作もそういった魅力をもっともっと発揮できる作品だと思うので、
後半戦がどう化けるのか?過度な期待をもって待ちたいと思います。
{/netabare}
ご拝読有り難うございました。