photon さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
インスタント正義
大衆小説、漫画、ゲーム、アニメ等娯楽の中で躍動する正義はとてもお手軽で節操が無い。そういうインスタントな正義の存在を教えてくれる作品だと思う。
単純な勧善懲悪的ストーリーよりもこの手のストーリーの方が分かり易い。
但し、お手軽で節操が無い=悪いと言っているわけではない。娯楽の本分にはお手軽であることも含まれると思うから、その本分を踏んでいるとするならばむしろ娯楽としてきちんと成立しているということになると思う。
というわけで、そんなことが透けて見える程の作品のストーリーに面白味があるかと言えば、そんなわけはなく、ただただ存在感があるだけだとなってしまう。
存在感があるということは一つの評価に繋がると思うけれど、生憎項目として示されていないものはコメントとして書き残す他ない。
ところで、インスタント正義にはモラルや一貫性というものが時として欠如することがある。特にモラルの欠如したそれを山本夏彦風に言うと、法人的正義という感じだろうか。
そんなことを考えながら本作品を鑑賞すると、社会人同士が時に涙ぐましく、時に狡猾に接待、営業を繰り返しているようにしかみえなくなることがある。
逃避することも娯楽の本分だとするならば、それを放棄するようなもののみかたは逸脱になるのだろうけれど、娯楽作品の中には意図せずそう感じるものも割と存在する。自分がフィクションに現実を投影しているだけなのか、制作者がフィクションに逃避している面影が見えるのか分からないけれど、後者ならばもはや娯楽ではなくなってしまう。
けれども、インスタント正義が成立し得るのは娯楽の中だからこそであり、これを逸脱すれば単なる暴力に成り下がる。
そんな印象を受ける作品の物語が娯楽として評価に値するとは思えないという感じで評価していない作品もあったりするのだけれど、本作はインスタント正義をきっちり娯楽の枠に収めているという意味で評価できるんでないかなと思った。
最後に、zeroよりも本作の方がまだまとまりがあるように思う。